ウル・ザババ

ウル・ザババ：伝説に包まれたキシュの王

ウル・ザババは、古代メソポタミア、キシュ第4王朝の王としてシュメール王名表に名を連ねています。彼は前王プズル・シンの息子とされていますが、その治世は400年間と記録されており、伝説的な色彩が強い人物です。特に、アッカド王朝の始祖であるサルゴンの伝説に深く関わっていることで知られています。

サルゴン伝説におけるウル・ザババ

伝説によれば、ウル・ザババは当初サルゴンを家臣として重用していました。しかし、サルゴンがウル・ザババの死と自身の王位継承を予知する夢を見たため、ウル・ザババはサルゴンを抹殺しようと試みます。しかし、この試みは失敗に終わります。また、別の説話では、サルゴンがウル・ザババに対して讒言を繰り返し、他の有力な家臣の地位を剥奪することで勢力を拡大し、最終的にはウル・ザババを追放して王位を簒奪したとされています。

歴史的記録との矛盾

しかし、ウル・ザババとサルゴンの関係を語るこれらの伝説は、複数の歴史的記録と矛盾しています。ウル・ザババがサルゴンに王位を奪われたとされるにもかかわらず、シュメール王名表には彼以降のキシュ王のリストが掲載されています。さらに、サルゴンと同時代のウルク王ルガルザゲシの碑文には、下の海（ペルシア湾）から上の海（地中海）までがルガルザゲシに従ったという記述があり、これが事実であればキシュもルガルザゲシの支配下にあったと考えられます。

これらの矛盾から、ウル・ザババとサルゴンについては様々な説が存在します。ウル・ザババは単に有名な王であったため、サルゴンの伝説に結び付けられたとする説もあります。彼の実際の姿については、実証的なことはほとんど何もわかっていません。

後世への影響

ウル・ザババの実際の姿についてはほとんど何もわかっていませんが、彼はメソポタミアにおいて比較的有名な王であったらしく、後代の記録には彼の名前が楽器に付けられたとするものもあります。

このように、ウル・ザババの実態は謎に包まれていますが、サルゴンから王位を簒奪されたという説話は、一般的な書籍や論文などでも広く採用されています。ただし、この問題を主題とするのでなければ、詳細な検討は避けられる傾向にあります。ウル・ザババは、古代メソポタミアの歴史における興味深い謎の一つと言えるでしょう。

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