ウワハル・シタハル

天表春命・天下春命について

概要

天表春命（あめのうわはるのみこと）と天下春命（あめのしたはるのみこと）は、日本神話に登場する神々です。天表春命は「天上春命」とも表記されます。

『先代旧事本紀』の「天神本紀」によると、両神は共に知恵の神である八意思兼神（やごころおもいかねのかみ）の御子神とされています。また、饒速日命（にぎはやひのみこと）が天磐船（あめのいわふね）に乗って天降った際、その護衛として随従した32柱の神々の中に、この二柱も含まれていたとされています。

天表春命は、信乃阿智祝部（しなののあちのほうりべ）などの祖神とされています。一方、天下春命は天表春命の弟神と見なされており、知々夫国造（ちちぶのくにのみやつこ）の先祖であるとされています。この知々夫国造は、大伴部氏（おおともべし）と深い関わりがあると考えられています。初代知々夫国造は天下春命の9世孫にあたる知々夫彦命（ちちぶひこのみこと）で、崇神天皇（すじんてんのう）の時代に国造の職を賜ったと伝えられています。

また、『高橋氏文』には「知々夫（秩父）国造の上祖、天上腹、天下腹人」という記述があり、この人名も天表春命と天下春命に関係があると考えられています。

系譜

父神: 八意思兼神
兄神: 天表春命
* 弟神: 天下春命

信仰

天表春命は、開拓、学問、技芸、裁縫、安産、そして婦女子の守護神として広く信仰されています。特に、長野県下伊那郡阿智村の阿智神社や長野県長野市の戸隠神社宝光社などで祀られています。

一方、天下春命は、開墾の神として信仰されることが多く、東京都多摩市の小野神社や府中市の小野神社などで祀られています。

これらの神社では、それぞれの神徳を仰ぎ、地域の人々の生活や文化に深く根ざした信仰が受け継がれています。

まとめ

天表春命と天下春命は、日本神話に登場する重要な神々であり、それぞれが異なる役割と信仰の対象となっています。天表春命は多岐にわたる神徳を持ち、人々の生活を守護する存在として、天下春命は開墾を通じて地域社会の発展に貢献する存在として、今日まで信仰され続けています。これらの神々への信仰は、古代からの日本の文化や歴史を理解する上で重要な要素となっています。

もう一度検索