ウワバミソウ

ウワバミソウ（蟒蛇草・蟒草）

概要

ウワバミソウ（学名: Elatostema involucratum）は、イラクサ科に属する多年生の植物で、特に水辺や沢沿いに自生しています。山菜としての評価が高く、地域によっては「ミズナ」や「ミズ」とも呼ばれています。山陰地方では「タキナ」と名付けられ、親しまれています。

名称の由来

ウワバミソウという名称は、この草がウワバミ（大蛇）の生息が想定される場所に生えていることから名づけられました。また、みずみずしい特性や水辺に自生することから「ミズナ」という名でも知られています。その他にも「イワソバ」、「シズクナ」、「ミズブキ」など多くの別名が存在します。

生息地と特性

日本全土（沖縄を除く）の北海道・本州・四国・九州で見られ、特に湿気の多い場所、如き渓流のそばや林内に好んで生育します。日陰を好むため、腐葉土層の豊富なところでよく成長します。

形態

根茎は横に這い、草丈は通常30から50cmほど。また、赤みを帯びた茎は肉質があり、柔らかいのが特徴です。葉は先が尖った卵形をしていて、互生し、荒い鋸歯があります。花は晩春から初夏にかけて緑白や淡黄色の小花を咲かせ、雌雄異株です。雌花は短い柄の部分に球状に集まり、雄花は長い柄に立って咲きます。

秋になると、葉の根元にむかご状が形成され、地面に倒れ込むと新たな苗が育ちます。冬は枯れますが、春には再び芽を出します。

利用法

薬用

特別な成分は含まれませんが、赤紫の茎と紅色の根茎をつぶすと粘液が得られ、これは皮膚を保護し外傷の回復を助ける効果があるとされています。虫刺されや小傷には生の茎や根の粘液が推奨されています。

食用

ウワバミソウの若葉は淡緑色で味が良く、様々な料理で利用されます。収穫時期は地域によりますが、晩春から秋まで楽しめるのが特徴です。調理方法は茹でた後の和え物や炒め物、煮物など多岐にわたり、クセのない味わいが魅力です。

根元の部分は粘りがあり、細かく刻んでとろろのようにして食べることもできます。これを醤油や鰹節で味付けしたものは酒の肴として重宝されます。また、むかごも食用として人気があり、茹でてそのまま食べられたり、漬物にすることも可能です。

文化

ウワバミソウは落語の演目『そば清』にも登場し、旅先で見た大蛇と関連したユーモラスな物語が語られます。このように、地域の文化にも根差した存在です。

近縁種

ウワバミソウはヤマトキホコリと外見が似ており、「ミズナ」と呼ばれることもありますが、ヤマトキホコリとは異なる特徴があります。また、アオミズという植物も類似点があり、一部の特性で区別されます。

ウワバミソウの特性と利用法を理解することで、その魅力をより堪能できるでしょう。

もう一度検索