ウンピョウ

ウンピョウ（Neofelis nebulosa）について

ウンピョウは、ネコ科ウンピョウ属に属する食肉類で、主にインド北東部から東南アジアにかけて分布しています。本種は、外見や生態においてユニークで、別名インドシナウンピョウやタカサゴヒョウとも呼ばれています。ウンピョウは、スンダウンピョウとともにウンピョウ属を構成しており、近年の研究によってその分類が見直されています。

分布

ウンピョウは広い地域に分布しており、具体的にはインド、ネパール、中国南部、タイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスといった国々に生息します。ただし、特にスマトラ島とボルネオ島に生息するスンダウンピョウは、別種として扱われることが多く、そのためウンピョウの狭義の分布はインド大陸や東南アジア本土に限られます。

形態

ウンピョウは大型でしなやかな体形を持ち、体長は約62cmから107cm、尾の長さは55cmから90cmです。体重は16kgから23kg程度で、全体的に暗灰色または黄褐色の毛衣が特徴です。体側面には黒い縁取りの雲状の斑紋や斑点があり、これが和名の由来となっています。また、耳介は丸く、後方に黒い体毛と白斑があり特異な印象を与えます。鼻面は頑丈で、非常に発達した犬歯を持つ点が特徴的です。

分類

ウンピョウはこれまでネコ属とヒョウ属の中間的な存在として考えられてきましたが、近年ではヒョウ亜科に分類されることが増えています。Wozencraft（2005）の分類に基づくと、ウンピョウには4つの亜種があるとされていますが、最新の研究では、スマトラ島とボルネオ島の個体はスンダウンピョウとして独立した種とされ、残る亜種については議論が続いています。

生態

ウンピョウは標高2000mから3000mの森林に生息し、樹上で生活する夜行性の肉食動物です。通常は単独で行動し、獲物はスローロリス、テングザルなどの小型哺乳類を主に狙いますが、大型のイノシシやシカなども捕食することがあります。繁殖面では、妊娠期間は86日から95日で、樹洞に幼獣を産みます。通常の出産では1回に2から3頭の幼獣を産むことが多く、授乳期間は約5か月です。性成熟に達するのは生後約26か月とされています。

人間との関係

近年、ウンピョウの個体数は開発による生息地の破壊や乱獲により減少しています。特に台湾や海南島の個体群は絶滅したと考えられており、動物園などでの保護活動が求められています。日本でも1983年に野毛山動物園で初めて繁殖に成功した例があり、現在もその重要性が注目されています。生息地を保護し、適切な管理を行うことが、今後のウンピョウの保存にとって不可欠です。

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