ウンマ (シュメールの都市国家)

ウンマ：古代シュメールの都市

ウンマ（シュメール語: 𒄑𒆵𒆠 ummaKI）は、現在のイラク、ジーカール県に位置する古代シュメールの都市です。ウンム・アル＝アカリブ（Umm al-Aqarib）またはジシバン（Gishban）とも呼ばれます。この遺跡のシュメール語とアッカド語の名称については学術的な議論があり、伝統的にテル・ジョハ（Tell Jokha）がウンマであるとされてきましたが、最近ではウンム・アル＝アカリブがウンマであった、あるいは両方の名前がウンマであったという説が出ています。

歴史

ウンマは、シュメール初期のテキスト『イナンナの冥界下り』にも登場します。女神イナンナが、貧困の中で暮らすウンマの都市神シャラを冥界に連れ去ろうとする悪魔を思いとどまらせる場面が描かれています。最終的に、悪魔たちは豪華絢爛な生活を送っていたウルクの王ドゥムジをシャラの代わりに連れ去りました。

紀元前2400年頃には、エンメテナ王によってラガシュとの長期にわたる国境紛争が記録されています。ウンマは紀元前2275年頃、ルガルザゲシ王の統治下で最盛期を迎え、ウルとウルクをも支配しました。ウル第3王朝時代には、ウンマは重要な地方的中心地となり、30,000枚を超える粘土板が発見されています。これらの粘土板は、当時の行政・政治に関する文書であり、ウンマの出来事を詳細に伝えています。シュルギ王（在位：紀元前21世紀頃）のウンマ暦は、後のバビロニア暦の先駆けであり、ユダヤ暦にも間接的な影響を与えたと考えられています。ウンマは青銅器時代中期に放棄されたと考えられています。

考古学

1854年にウィリアム・ロフタスがテル・ジョハの遺跡を訪れ、1885年にはペンシルベニア大学のジョン・パネット・ピーターズが調査を行いました。20世紀初頭には、ウンマから違法に発掘されたウル第3王朝時代の粘土板が多数、骨董市場に出回りました。テル・ジョハはウンマの属領であったギシャ（Gisha, Kissa）であると特定されており、ウンマ自体の遺跡はウンム・アル＝アカリブにあります。ウンム・アル＝アカリブでは、初期王朝時代（紀元前2900年頃-紀元前2300年頃）に遡る層が発見され、神殿や宮殿と考えられる大規模な建造物も確認されています。2017年には、スロヴァキア考古・歴史学研究所がテル・ジョハの発掘を開始しました。

略奪

2003年のイラク侵攻後、ウンマの遺跡は略奪者によって大規模な被害を受けました。現在、遺跡には数百もの盗掘孔が確認されており、今後の発掘調査が困難な状況となっています。グローバル・ヘリテージ・ネットワーク（GHN）が公開した航空写真の比較画像は、2003年から2010年の間に約1.12平方キロメートルの範囲が盗掘によって破壊されたことを示しています。ウンム・アル＝アカリブの状況に関するさらなる情報は、イラクの考古学遺産の破壊に関する記事で確認できます。

ウンマの君主

キシュの王アッガ（紀元前26世紀頃）は、ウンマを占領したと考えられています。その結果、初期王朝時代にはザバラがアッガに従属していました。

ウンマ第1王朝

ウンマ第2王朝

ウンマは、古代メソポタミアの歴史において重要な役割を果たした都市であり、その遺跡は貴重な情報源です。しかし、略奪によって遺跡が深刻な被害を受けており、その保護と研究が急務となっています。

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