ジーカール県

ジーカール県は、イラクの南部に位置する県であり、県都はナーシリーヤです。人口は約150万人を擁し、古代メソポタミア文明の重要な遺跡が数多く存在する地域として知られています。県の名前はアラビア語で「ذي قار」（Dhī Qār）と表記され、「ズィー・カール」と発音されるのが原語に近いとされています。日本語では、「ディーカール」と表記されることもあります。

地理

ジーカール県は、イラクの南部に位置し、周辺の県と境界を接しています。北にはワーシト県、東にはマイサーン県、南東にはバスラ県、南西にはムサンナー県、そして西にはカーディーシーヤ県と隣接しており、これらの県との交流も盛んです。この地理的な位置から、古代から交通の要所として栄えてきました。

歴史

ジーカール県は、メソポタミア文明、特にシュメール文明の中心地として重要な役割を果たした地域です。この地域には、世界的に有名な古代都市遺跡が数多く点在しており、その中でも特に有名なのが、ウル、エリドゥ、ラガシュ、ウンマ、ラルサといった古代都市です。

ウル: シュメール文明の重要な都市国家で、ジッグラト（聖塔）や王墓などの遺跡が残っています。
エリドゥ: シュメールの最古の都市の一つとされ、宗教的な中心地でした。神殿遺跡が発見されています。
ラガシュ: シュメールの都市国家の一つで、粘土板文書や彫刻などの遺物が発見されています。
ウンマ: ラガシュと対立した都市国家で、古代メソポタミアの政治史を語る上で重要な場所です。
* ラルサ: シュメール文明末期からアムル人の時代にかけて繁栄した都市で、神殿跡などが残っています。

これらの遺跡は、メソポタミア文明の高度な文化や技術を今に伝える貴重な遺産です。

また、ジーカール県には、世界最古の博物館とされるエンニガルディ＝ナンナの博物館遺跡があります。この博物館は、古代バビロニアの王女エンニガルディ＝ナンナによって設立されたと考えられており、古代の工芸品やコレクションが展示されていました。この博物館の存在は、古代文明における文化的な保存活動の重要性を示しています。

ジーカール県の歴史は非常に深く、メソポタミア文明だけでなく、その後の様々な時代の文化や歴史が積み重なってきました。この地を訪れる人々は、古代文明のロマンを感じるとともに、その歴史の重みを実感することができるでしょう。

この地域は現在も発掘調査が進められており、新たな発見が期待されています。ジーカール県は、古代文明の豊かな歴史を今に伝える重要な地域であり、考古学や歴史学の研究者たちにとっても非常に価値のある場所です。

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