エアバス ベルーガ XL

エアバス ベルーガ XLについての詳細

エアバス ベルーガ XLは、欧州の航空機メーカーエアバスによって設計された特別な貨物輸送機です。この機体は、運搬効率を向上させるために開発され、到着した部品を生産施設に迅速に運ぶ役割を果たしています。2014年11月に開発計画が始まり、その後2016年7月に詳細が発表されました。

設計と製造

ベルーガ XLは、エアバスA330シリーズの既存の部品を使用して製造されています。具体的には、A330-200Fの前部胴体とA330-300の後部胴体を組み合わせ、新たに設計されたコックピットや貨物室を搭載しています。この機体には、上部に「バブル・エアフレーム・セクション」と呼ばれる拡張部分が追加され、その結果、全長は45m、内径は8mに達し、最大積載重量は50トンです。

追加された拡張部により、従来のベルーガSTの30%増となる貨物室が完成しました。貨物の積み降ろしを便利にするために、コックピット部分は機体の底に移設されています。この機体は、いわゆるナローボディ機やワイドボディ機の部品を輸送するために使用され、ヨーロッパ中の工場から最終組立施設であるフランスのトゥールーズやドイツのハンブルクに運ばれています。

運用とその利点

ベルーガ XLは、ナローボディおよびワイドボディ機の製造に必要な部品を運搬するために運用されます。2023年までに5機の製造が予定されており、完成後は従来機のベルーガSTを代替することになります。さらに、初号機は2019年中頃に就航予定でしたが、最終的には2020年1月から正式な輸送業務を開始しました。

試験と認証

エアバスは、2017年にベルーガ XLの主要部品の組立を開始し、2018年には初飛行を成功させました。地上試験を経て、2019年11月にはEASAからの型式証明を取得し、その後は約700時間にわたる試験飛行を行いました。これにより、この機体の安全性と性能が確認されました。

設計上の特徴

この機体の貨物室は非与圧であり、ベルーガSTに比べて貨物の容積が30%増加しています。そのため、エアバスA350 XWBの主翼を左右セットで運ぶことが可能になりましたが、エアバスA380の部品は船で運ぶ必要があります。機体の前部と後部は、それぞれA330-200とA330-300を基に設計されており、重心を適正に保つ工夫が施されています。貨物室の拡張には新規の部品が8,000個も使用されています。

また、機体の安定性を確保するために、垂直尾翼の面積を50%増加させ、2枚の新しい垂直安定板も追加されました。貨物室の構造には細心の注意が払われています。コックピットや貨物扉など、各部品が異なる国の企業によって製造され、国際的な協力によって完成しています。

性能と仕様

ベルーガ XLの巡航速度は、35,000フィートでマッハ0.69、最大積載時の航続距離は4,300kmに達します。設計の見直しにより、貨物の運搬能力が飛躍的に向上しており、多様な貨物の輸送に対応できる体制が整っています。

• - ペイロード: 50,500 kg
• - 全長: 63.1 m
• - 翼幅: 60.3 m
• - 空虚重量: 127,500 kg
• - 最大離陸重量: 227,000 kg

エアバス ベルーガ XLは、未来の航空貨物輸送の重要な一翼を担う存在となっていくことでしょう。

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