エアワン

エア・ワン（Air One S.p.A.）

エア・ワンは、かつてイタリアに存在した格安航空会社です。その歴史は、1983年にアドリア海沿いの街ペスカーラで航空学校兼エアタクシー会社として創業した「アリアドリアティカ」に遡ります。その後、地方航空会社として運航を開始し、1988年にはイタリアのゼネコン、トト企業グループの傘下に入りました。

成長と提携

1995年11月には、「エア・ワン」へと社名を変更し、ローマ〜ミラノ間で定期便の運航を開始しました。2000年からは、ルフトハンザグループと提携し、スターアライアンス傘下の地域航空会社として運航を続けました。さらに2006年6月には、近距離路線を専門とする子会社「エアワン・シティライナー」を設立し、エア・ワン本体は長距離路線の運航に注力しました。

2007年には、エールフランス-KLMグループと共にアリタリア航空の買収に名乗りを上げましたが、交渉の結果、アリタリアはエールフランス-KLMグループをパートナーとして選びました。

大西洋路線への進出

2008年6月には、それまでのイタリア国内やヨーロッパ域内の路線に加え、大西洋路線も開設しました。これにより、ボストンやシカゴなどの主要都市を含む、国内外26都市へのネットワークを拡大しました。主な就航都市には、フランクフルト、ミュンヘン、ニース、アテネ、ミラノ、ローマ、ナポリ、ヴェネツィア、ボローニャ、ジェノヴァ、トリノ、アルゲーロなどがありました。

アリタリアとの経営統合と運航終了

2009年1月13日、エア・ワンは経営破綻したアリタリア航空と経営統合し、アリタリアの受け皿会社であるイタリア航空（CAI）の傘下に入りました。この経営統合に伴い、ルフトハンザ航空との業務提携は解消され、ルフトハンザのマイレージプログラム「Miles & More」からも脱退することになりました。

経営統合後、エア・ワンは格安航空会社（LCC）として再出発しましたが、2014年9月30日、アリタリア航空へのブランド統一のため、エア・ワンとしての運航を終了しました。これは、イタリアの航空業界における大きな転換期を象徴する出来事でした。

保有機材

運航終了直前のエア・ワンは、10機のエアバスA320を保有していました。過去には、エアバスA330-200、ボーイング737シリーズ（200、300、400、800）、そしてAvro RJ70などの機材も運用していました。

まとめ

エア・ワンは、地方航空会社から格安航空会社へと変貌を遂げ、最終的にはアリタリア航空に統合されるという、激動の歴史を持つ航空会社でした。その短い歴史の中で、イタリア国内、ヨーロッパ、そして大西洋路線へと拡大し、多くの乗客に利用されていました。しかし、経営統合とブランド統一という航空業界再編の波の中で、そのブランドは消滅しました。しかし、その歴史は、イタリアの航空業界の歴史の一部として、記憶されるべきものです。


出典:

Air One（イタリア語）（英語）

Air One 機材詳細（英語）

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