エア・インディア171便墜落事故

エア・インディア171便墜落事故

2025年6月12日午後1時38分頃（インド標準時）、インド西部にあるアフマダーバード国際空港を離陸したロンドン・ガトウィック行きのエア・インディア171便で、重大な航空事故が発生しました。この便はボーイング787-8型機（機体記号: VT-ANB）で運航されており、離陸して間もなく空港近隣の市街地に墜落しました。この事故は、ボーイング787-8型機にとって初めての機体全損と死亡者を伴う事故となったほか、エア・インディアが機体を全損する事故としては、1985年に発生したエア・インディア182便爆破事件以来のことでした。

事故の経緯

事故機であるエア・インディア171便は、アフマダーバード国際空港の滑走路を離陸した後、上昇を開始しました。しかし、高度およそ625フィート（約190メートル）に達したところで、乗員から航空管制官に対して緊急事態を知らせる「メーデー」が発信されました。この通信の後、管制官からの呼びかけに対し、機体からの応答は途絶えました。

通信が途絶えた後、機体は急速に高度を失い、空港の近くにあるB. J. メディカルカレッジの敷地内に位置する学生寮に激しく墜落しました。墜落時の対地速度は、時速約322キロメートル（174ノット）に達していたと記録されています。

事故機

事故を起こしたボーイング787-8型機、機体記号VT-ANBは、2013年12月に製造された機体でした。搭載エンジンは、ゼネラル・エレクトリック社製のGEnx-1B67です。製造後、2014年1月にエア・インディアへ引き渡され、商業運航に就いていました。事故発生のわずか2日前、2025年6月10日には、東京の羽田空港とデリーを結ぶ便（AI357便およびAI358便）としても運航されていた経歴があります。

搭乗者

インド民間航空総局（DGCA）およびエア・インディアの発表によれば、当該便には総勢242名が搭乗していました。このうち、乗客は230名で、子供11名と幼児2名が含まれていました。残りの12名は乗員で、パイロットが2名、客室乗務員が10名でした。

搭乗者の国籍は以下の通りです。

インド: 169名
イギリス: 53名
ポルトガル: 7名
カナダ: 1名

また、この便には、グジャラート州の元首相であるビジェイ・ルパニ氏も搭乗していました。

被害状況

この事故による被害は甚大でした。

搭乗者への被害

エア・インディアは、搭乗者242名のうち、241名が死亡したと発表しました。生存が確認されたのは、搭乗していたイギリス国籍の男性わずか1名のみでした。この事故により、搭乗者のほぼ全員が命を落とすという悲劇的な結果となりました。

地上への被害

旅客機が墜落した場所は、医科大学の学生寮でした。地元メディアの報道によると、多くの医学部生がこの事故に巻き込まれ、少なくとも学生5名が死亡、多数の負傷者が出ました。地上にいた人々も犠牲となり、事故の被害は搭乗者にとどまりませんでした。

この事故原因については、現在調査が進められています。

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