エイドリアン・アーランドソン

エイドリアン・アーランドソン：エクストリームメタルシーンを彩る名ドラマー

エイドリアン・アーランドソン (Adrian Erlandsson) は、1970年10月27日スウェーデン・マルメ生まれのドラマーである。その正確無比でパワフルなプレイは、世界中のエクストリームメタルファンを魅了し続けている。

11歳でドラムを始め、友人とのバンド活動や学校の先生とのセッションなどを通して経験を積んだアーランドソンは、その後オリジナル楽曲の制作を開始。スラッシュメタルバンドを結成するも、デモを残すことなく解散という結果に終わる。しかし、この初期の経験は、後の彼のキャリアに大きな影響を与えたことは間違いないだろう。

1990年、ヨーテボリ大学在学中にデスメタルバンド、アット・ザ・ゲイツ (At the Gates) に加入。同バンドで4枚のフルアルバムに参加し、バンドの黄金期を支えた。アット・ザ・ゲイツでの活動は、アーランドソンをドラム界の俊英として確固たる地位に押し上げた。アット・ザ・ゲイツ解散後も、再結成ライブに参加し、その実力は衰えることなく多くのファンを沸かせた。

アット・ザ・ゲイツ在籍中の1994年には、バンドメンバーらと共にデスメタル/グラインドコアバンド、テラー (Terror) を結成するも、デモ制作のみに終わった。また、同じく1994年には、クラストコアバンド、スキットシステム (Skitsystem) にも参加。複数のEPをリリースするも、ザ・ホーンテッド (The Haunted) の活動に専念するため脱退している。同時期に、デスメタルバンド、デカメロン (Decameron) のアルバム『My Shadow...』にも参加。

1996年、アット・ザ・ゲイツ解散後には、元アット・ザ・ゲイツメンバーと共にザ・ホーンテッドを結成。1stアルバム『The Haunted』に参加するが、1999年に脱退。

ザ・ホーンテッド脱退後は、イギリスのエクストリームメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルス (Cradle of Filth) に加入。当初はレコーディングセッションのみの予定だったが、正式メンバーとなり、4枚のフルアルバムに参加。その正確なドラミングは、凄腕ドラマーが揃うクレイドル・オブ・フィルスの中でも際立っていた。

クレイドル・オブ・フィルス脱退後も、アーランドソンの活動は衰えることなく、グルーヴメタルバンド12 Ton Methodへの参加、妻アンバー・アーランドソンと共に結成したロックバンドNemhainでの活動、メキシコのデスメタル/グラインドコアバンド、ブルヘリア (Brujeria) への加入など、多岐にわたる。

さらに、イギリスのブラックメタルバンドCode、ゴシックメタルバンドパラダイス・ロスト (Paradise Lost)、イタリアのHortus AnimaeのMartyr Luciferのサイドプロジェクト、デスメタルバンドVallenfyreなど、数々のバンドに参加。セッションドラマーとしても活躍し、その高い技術と幅広い音楽性を証明している。

2013年には、ザ・ホーンテッドに復帰。Deathstars、Tenet、H.E.A.L.といったバンドにも在籍していた時期があるが、音源は残っていない。

アーランドソンの音楽的特徴は、速くて正確なドラミングにある。弟で、アーチ・エネミーやカーカスで活躍するダニエル・アーランドソンと同様に高速プレイを得意とするが、感情表現豊かなプレイが特徴。特に、アット・ザ・ゲイツの『Slaughter of the Soul』レコーディング時のプロデューサーからの助言をきっかけに磨かれた、パワフルで正確なドラミングは、多くのミュージシャンから高く評価されている。

数々のバンドでの活動、そしてセッションドラマーとしての経験から培われたアーランドソンのドラミングは、現代のメロディックデス・メタル、デスラッシュ・メタルのドラミングスタイルの礎を築いたと言えるだろう。彼の活動は、これからもエクストリームメタルシーンを刺激し続けるに違いない。

ディスコグラフィー

上記の本文中に記載されているとおり、アーランドソンは非常に多くのバンドに参加し、膨大な数のアルバムやシングル、EPなどをリリースしている。ここでは、代表的な作品の一部のみを記す。詳細は、各バンドの公式ウェブサイトや音楽データベースなどを参照されたい。

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