エウスタキウス

エウスタキウス（またはエウスタティウス）は、2世紀に生きたとされる伝説的なキリスト教殉教者です。元はプラキドゥスという名で、ローマ帝国の将軍としてトラヤヌス帝に仕えていました。カトリック教会と正教会で9月20日に記憶されます。

生涯

プラキドゥスは、ティヴォリ近郊で猟をしていた際、キリストの幻視を見ました。この経験から彼は回心し、家族と共に洗礼を受け、エウスタキウスと改名しました。この改名は「幸運」を意味します。

しかし、彼の信仰は試練にさらされます。富を失い、従僕がペストで亡くなりました。家族と海を渡る途中、船長が彼の妻を誘拐し、さらに2人の息子と川を渡っていると、ライオンと狼に息子たちを奪われるという不幸に見舞われます。

ヨブ記のヨブのように、エウスタキウスは数々の苦難に遭いながらも信仰を捨てませんでした。その結果、彼は失った富と家族を取り戻します。

しかし、エウスタキウスは異教の信仰を拒否し、自身の信仰を公にしたため、ハドリアヌス帝に捕えられました。彼は妻と息子たちと共に、ファラリスの雄牛と呼ばれる拷問器具に閉じ込められ、火あぶりにされて殉教しました。この出来事は118年頃とされています。

ヤコブス・デ・ウォラギネの『黄金伝説』に取り上げられたことから、エウスタキウスは猟師の守護聖人として信仰を集めるようになりました。正教会では大致命者エウスタフィと呼ばれています。

エウスタキウスの生涯は、信仰の試練と、それを乗り越えることの重要性を示唆しています。彼の物語は、多くの信者にとって希望と勇気の源泉となっています。

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