ティヴォリ

イタリア、ティヴォリの魅力

ティヴォリは、イタリアのラツィオ州、ローマ県に位置する人口約56,000人のコムーネ（基礎自治体）です。ローマの東約30kmに位置し、古代ローマ時代から保養地として知られてきました。その歴史的な価値と美しい景観から、多くの観光客を魅了しています。

歴史

ティヴォリの起源は古く、古代ローマ時代には「ティブル」と呼ばれていました。伝説によれば、テーバイでの虐殺を逃れたカティッルスによって建設されたとされています。紀元前13世紀には既に人が定住しており、エトルリア時代にはサビニ人の都市として栄えました。

ローマ時代には、アブルッツォ地方への重要な街道（ティブルティーナ街道）が通る場所として、戦略的な要所となりました。また、良質な水と美しい自然から、ローマ貴族たちの別荘地としても人気を集めました。有名な別荘としては、ハドリアヌス帝のヴィッラ・アドリアーナ、アウグストゥス帝やマエケナスの別荘などがあります。

中世には、独立したコムーネとしてローマと競い合う勢力を持つようになりました。10世紀以降は教皇領となり、15世紀まで自治的な状態を維持しました。

ルネサンス期には、教皇や枢機卿たちが豪華な邸宅を建設し、ティヴォリは再び繁栄しました。特に有名なのは、16世紀に建設されたヴィッラ・デステです。この別荘は、後期マニエリスムの装飾が施され、豪華絢爛な庭園が有名です。

地理

ティヴォリ市内には、アニエーネ川が流れています。この川は古代ローマの水道水源としても利用され、滝はティヴォリの景観を象徴する重要な要素です。アニエーネ川が作り出す滝の景観は、ティヴォリを有名にしている大きな要因の一つです。

ティヴォリは、ローマ県東部に位置し、ローマ中心部からは東北東に約28km離れています。周辺のコムーネとしては、マルチェッリーナ、サン・ポーロ・デイ・カヴァリエーリ、ヴィコヴァーロ、カステル・マダーマ、サン・グレゴーリオ・ダ・サッソラ、ローマ、グイドーニア・モンテチェーリオなどが隣接しています。

文化と観光

ティヴォリの最も重要な観光名所は、ユネスコ世界遺産に登録されている二つの別荘です。

ヴィッラ・デステ: 16世紀に建てられたエステ家の別荘で、壮大な庭園と多数の噴水が特徴です。後期マニエリスム様式の装飾も見事です。庭園の美しさは、訪れる人々を魅了し、そのスケールの大きさに圧倒されます。
ヴィッラ・アドリアーナ: ハドリアヌス帝が建設した広大な別荘の遺跡です。古代ローマ時代の建築技術の高さと皇帝の権威を示す遺跡として有名です。当時の様子を偲ばせる多くの遺跡を見ることができます。

その他にも、以下のような見どころがあります。

ヴィッラ・グレゴリアーナ: 19世紀に教皇グレゴリウス16世によって整備された別荘で、アニエーネ川の滝を中心とした景観が楽しめます。
ロッカ・ピーア城: 15世紀に教皇ピウス2世が建てた城で、ティヴォリの街を見下ろす高台に位置しています。
ローマ（ブレーソの）円形劇場: 古代ローマ時代の円形劇場の遺跡です。
グレゴリアーノ橋: 美しいアーチ型の橋で、周囲の景観に調和しています。

ティヴォリは、多くの芸術家たちにもインスピレーションを与えてきました。絵画、音楽、文学など、様々な分野でティヴォリを題材にした作品が作られています。

経済

ティヴォリは、古代ローマ時代からトラバーチンの採石で知られています。特に「トラベルティーノ・ロマーノ」と呼ばれるチボリ産のトラバーチンは、ローマの多くの建築物に使用されてきました。また、アニエーネ川の水力を利用した発電も行われています。周辺の丘陵地帯では、オリーブ、ブドウ、果物の栽培も盛んです。

交通

ティヴォリへは、ローマから高速道路や鉄道でアクセスできます。A1とA24の高速道路が市内を通過しており、ティヴォリの出入り口もあります。

鉄道では、ローマ＝スルモーナ＝ペスカーラ線がティヴォリ駅とバーニ・ディ・ティーヴォリ駅を通っています。ローマとティヴォリを結ぶ路線は、ラツィオ州の鉄道運行網FL2として運行されています。

姉妹都市

日本の神奈川県湯河原町と姉妹都市提携を結んでいます。

まとめ

ティヴォリは、その長い歴史と美しい景観から、多くの観光客を魅了する都市です。古代ローマ時代の遺跡、ルネサンス期の別荘、自然の景観など、多様な魅力にあふれています。ローマからの日帰り旅行にも最適なティヴォリで、歴史と文化、そして自然の美しさを満喫してみてはいかがでしょうか。

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