エウリュアロス

エウリュアロス

ギリシア神話の世界には、「エウリュアロス」（古希: Εὐρυάλος, ラテン語: Euryalus）という名を冠する人物が複数登場します。主な人物としては、少なくとも五人が数えられます。彼らはそれぞれ異なる物語や系譜を持ち、異なる運命を辿りました。

メーキステウスの子エウリュアロス

最も知られるエウリュアロスのひとりは、メーキステウスを父に持つ人物です。彼は英雄たちの船旅であるアルゴナウタイの一員として、イアーソーンに率いられてコルキスの金羊毛皮を目指した冒険に加わりました。また、彼は後の世代の英雄であるエピゴノイ（後裔たち）の一人としても名を連ねています。エピゴノイは、父たちの世代が失敗したテーバイ攻めを十年後に再度挑んだ者たちであり、エウリュアロスはこの軍勢に加わり、テーバイを攻略する成功を収めました。ただし、エピゴノイの構成員については異説も存在し、エウリュアロスではなくヒッポメドーンの子ポリュドーロスを含める系譜も伝えられています。

さらに、メーキステウスの子エウリュアロスは、後のトロイア戦争にも参加しました。彼は同じエピゴノイの一員であるステネロスと行動を共にし、ディオメーデースが率いるアルゴス軍の一員としてこの大戦に身を投じたのです。

メラースの子エウリュアロス

もう一人のエウリュアロスは、メラースを父とする人物です。彼はカリュドーンの王であったオイネウスに対し、兄弟たちと共に謀反を企てたとされています。しかし、その陰謀は露見し、エウリュアロスは兄弟たちと共に、オイネウスの息子である英雄テューデウスの手にかかって命を落としました。テューデウスは後にテーバイ攻めの七将の一人となる人物です。

ペーネロペーの求婚者たち

叙事詩『オデュッセイア』に登場する、イタケーの王妃ペーネロペーに言い寄った多数の求婚者の中にも、「エウリュアロス」という名の人物が二人含まれています。彼らは長期にわたるオデュッセウスの不在を利用して王宮に居座り、ペーネロペーに結婚を迫りましたが、長い旅の末にイタケーへと帰還したオデュッセウスによって、他の傲慢な求婚者たちと共に誅殺されました。

アイネイアースの部下

叙事詩『アエネーイス』には、トロイア陥落後にイタリアを目指した英雄アイネイアースの部下として、エウリュアロスという名の人物が登場します。彼は友人のニーソスと共に活躍しますが、悲劇的な最期を遂げる人物として描かれています。

このように、「エウリュアロス」という名前は、ギリシア神話の様々な時代や物語に登場する複数の人物によって共有されています。それぞれの人物が異なる系譜や物語を持ち、古代の伝承の中で個性的な役割を果たしているのです。

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