エオドロマエウス

エオドロマエウスの概要



エオドロマエウス（Eodromaeus）は、三畳紀後期に現アルゼンチンで生息していた肉食性の小型恐竜であり、基部獣脚類に分類される絶滅した属です。その名前は「暁のランナー」という意味で、大きな意義を持つ恐竜です。

この種は、恐竜の進化において重要な位置を占めており、かつては恐竜の共通祖先「イヴ」とも言われたことがあります。それでは、エオドロマエウスの発見や特徴、分類について詳しく見ていきましょう。

発見の経緯



エオドロマエウスの化石は1996年、アルゼンチンの古生物学者リカルド・N・マルティネスとボランティアのジム・マーフィーによって発見されました。当初はエオラプトル属の新種と考えられていましたが、さらなる詳細な研究が進む中で、エオラプトルには見られない骨格の特徴が多数発見されたことから、独自の新属として認識されるようになりました。

発見されたホロタイプPVSJ 560の化石は、ほぼ完全な関節した骨格であり、イスチグアラスト層のバレ・デ・ルナ（月の谷）部層最上部にて見つかりました。さらに、PVSJ 534、PVSJ 561、PVSJ 562、PVSJ 877といった他の標本もバレ・デ・ルナおよびイスチグアラスト層のCancha de Bochas部層から発見されています。これらは三畳紀後期の約2億3200万から2億2900万年前の地層から採取されたものです。

形態的特徴



エオドロマエウスは全長約1.2メートル、体重は約5キログラムの小型肉食恐竜です。その胴体は細長く、前肢と後肢では前肢がかなり短いのが特徴的です。手には5本の指があり、特に第四指と第五指は非常に小さくなっています。

エオドロマエウスは、その走行速度に関する具体的な証拠はありませんが、時速30キロメートル程度で走ることが可能であったと考えられています。肉食性であるため、他の小型動物を捕食していたことでしょう。

命名と分類



エオドロマエウス属とそのタイプ種であるEodromaeus murphiは、2011年にリカルド・N・マルティネスをはじめとする研究者たちによって公式に命名されました。属名は、ギリシャ語で「暁」を意味するEosと「ランナー」を意味するDromaeusを組み合わせた造語です。また、種小名は化石発見地の近隣に住むジム・マーフィーにちなんで名付けられました。

エオドロマエウスは肉食恐竜を含む獣脚類の初期のメンバーと考えられています。この発見は、かつて獣脚類とされていたエオラプトルの再分類にも影響を与えました。エオラプトルは、アパトサウルスなどの竜脚形類へと再評価されていますが、一部の研究者は依然としてエオラプトルを獣脚類と見なす意見を持っています。

参考文献




このように、エオドロマエウスは恐竜の進化において非常に重要な位置を占めており、その形態や生態に関する研究は、今後の古生物学に貴重な情報を提供することでしょう。

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