エキセントリック (機械要素)

エキセントリックの概要

エキセントリック（eccentric）は、回転する軸とその中心をずらして円形のディスクを固定した機械要素の一つです。この用語は「偏心した」という意味を持ち、主に蒸気機関車などの機械で用いられます。具体的には、エキセントリックは回転運動を直線的な往復運動に変換し、弁装置やポンプの動作を駆動します。

エキセントリックとリターンクランクの違い

エキセントリックの機能はリターンクランクとも似ていますが、取り付け位置において異なる特性があります。リターンクランクは回転軸の末端や車輪の外側に設置されるのに対し、エキセントリックは車輪の間の軸そのものにも取り付けることが可能です。このため、エキセントリックは機械のデザインにおいて柔軟性を持たせることができ、効率的な動力伝達が実現されています。

エキセントリックの原理

エキセントリックの動作は、シーブ（eccentric sheave）を中心に構成されています。シーブは回転軸に対して中心がずれて接続されているため、軸が回転するとシーブの中心点も周囲を回ることになります。シーブの外周には溝があり、エキセントリック・ストラップが取り付けられています。このストラップとシーブは互いにはめ込まれているものの、固定はされていないため、自由に回転可能です。

エキセントリック・ストラップはエキセントリック・ロッドと結びついており、ロッドの反対側はガイド付きのロッドに接続されています。シーブが回転する際、ストラップは上下左右に動きますが、エキセントリック・ロッドの先端はガイドロッドに接続されているため、上下動は吸収され、左右方向の動きだけがロッドに伝達されます。この結果、回転軸が1回転するたびにロッドは1回の往復運動を行うことになります。

自転車への応用

エキセントリックは自転車の部品としても利用されています。特に、タンデム自転車のタイミングチェーンや、シングルスピードのリアディスクブレーキ、ハブギアにおいて、ボトムブラケットを微細に前後移動させ、チェーンの張力を適切に保つ役割を果たします。これらの部品は、ボトムブラケットシェル内に設けられたくさびや位置決めネジ、ピンチボルトによって、その位置を固定されています。

エキセントリックの関連項目

エキセントリックは、カム、クランクシャフト、リンク機構、そしてロータリーエンジンなどのほかの機械要素と同様に、機械工学において重要な役割を果たしています。これらの要素と組み合わせて使用することで、様々な運動形式の変換や動力伝達が可能となります。

機械要素としてのエキセントリックは、特異な構造や機能を持ち、高度な技術を実現するために欠かせない存在です。今日においてもその利用は続き、様々な技術革新に寄与しています。

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