エクシム

株式会社エクシムは、かつて日本の電力・送電インフラを支えた非鉄金属メーカーでした。電線やケーブルの製造・販売・施工を主な事業とし、特に電力用ケーブル分野で重要な役割を担っていました。本社は東京都港区に所在していました。

沿革

エクシムは、2002年4月1日に昭和電線ホールディングス株式会社と三菱電線工業株式会社の電力用電線事業統合によって設立されました。これは、両社の強みを結集し、より競争力のある企業を目指す戦略的な動きでした。しかし、2015年8月26日、三菱電線工業が保有していた株式を昭和電線ホールディングスに譲渡したことにより、エクシムは昭和電線ホールディングスの完全子会社となりました。その後、同年10月1日には、昭和電線ホールディングスの連結子会社である昭和電線ケーブルシステム株式会社に吸収合併され、その歴史に幕を閉じました。

諸問題

2009年1月29日、エクシムは、ジェイ・パワーシステムズ、ビスキャスと共に公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。この検査は、高圧・特別高圧電力ケーブルの製造販売業者間における、受注予定者の決定や受注割合の決定などの疑いを対象とするものでした。国際的な価格カルテルを結んでいた疑いも浮上し、業界全体に大きな衝撃を与えました。エクシムは、この検査に全面的に協力する姿勢を示しましたが、この事件は企業倫理と公正な競争の重要性を改めて浮き彫りにしました。

事業内容

エクシムは、多岐にわたる電力関連製品とサービスを提供していました。主な事業内容は以下の通りです。

海底OFケーブルおよびCVケーブル: 海底に敷設される電力ケーブルで、長距離の電力伝送に不可欠なインフラです。
地中送電用OFケーブルおよびCVケーブル: 都市部などで地下に敷設される電力ケーブルで、景観に配慮しつつ安定した電力供給を可能にします。
絶縁電線（架空配電線含む）: 電柱などに設置される絶縁電線で、住宅や施設への電力供給を担います。
付属品（電力ケーブル、絶縁電線、架空送電線）: 電力ケーブルや電線を接続・保護するための様々な付属品を提供していました。
監視装置、設備: 電力設備の監視や制御を行うための装置やシステムを提供していました。
OPGW（光ファイバ複合架空地線）: 光ファイバーと送電線を一体化したケーブルで、情報通信と電力伝送を同時に行えます。
架空送電線（ACFRなど）: 送電鉄塔に設置される送電線で、長距離の大容量電力伝送に用いられます。

また、これらの電力用ケーブル、電線、および付属品に関する研究開発、システムエンジニアリング、販売、製造、施工まで、一貫したサービスを提供していました。

事業所所在地

エクシムは、以下の場所に事業所を展開していました。

本社: 東京都港区虎ノ門4丁目3番1号
生産拠点事業所
愛知工場: 風力発電用風車と高層ビル型煙突が特徴的で、東海道新幹線からも見えるほど目立つ存在でした。アニメ映画『君の名は。』の背景にも登場しています。
相模原工場:
熊谷工場:
* 仙台工場:

エクシムは、日本の電力インフラを支える重要な企業の一つでしたが、合併によりその名前は歴史の中に消えました。しかし、その技術と貢献は、今も日本の電力システムを支える基盤となっています。

外部リンク

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