エクスパンション・ドラフト

エクスパンション・ドラフト（拡張ドラフト）について

エクスパンション・ドラフト（expansion draft）とは、プロスポーツにおいて新たに設立されたチームが既存のチームから選手を選び取るための制度を指します。このドラフトは、一般的なドラフト会議とは異なり、主に新規参入チームの戦力確保を目的としています。なお、日本においては「分配ドラフト」という名称で呼ばれることもありますが、その場合でも球団数の増加を伴わないケースで使用されることがあります。

日本におけるエクスパンション・ドラフト

日本では、特にバスケットボールリーグのbjリーグや、四国アイランドリーグ、ベースボール・チャレンジ・リーグなどでエクスパンション・ドラフトが実施されています。以下に、bjリーグを中心に、これまでの実績を詳しく見ていきましょう。

bjリーグの経緯

最初に日本でエクスパンション・ドラフトが行われたのは、2006年です。この年、富山グラウジーズと高松ファイブアローズの2チームが新たに加盟しましたが、どちらのチームもドラフトでは選手を指名しませんでした。次の年の2007年には、ライジング福岡と琉球ゴールデンキングスが新規加入し、福岡は選手を指名したものの、沖縄は未指名となりました。

その後の2008年には浜松・東三河フェニックスと滋賀レイクスターズ、2009年は京都ハンナリーズが加盟し、それぞれ異なる選手を指名しました。2010年から2011年にかけては、さらに多くのチームが加盟し、エクスパンション・ドラフトによって新たな選手がチームに加わりました。

選手保護の仕組み

エクスパンション・ドラフトでは、既存チームはプロテクト選手を選んでリストに提出します。プロテクトされた選手は新チームから指名されない権利を持ち、外国籍選手やFA権を持つ選手はドラフトの対象外となります。プロテクト選手の数は、毎年のプレイオフ出場回数に応じて調整され、指名数が制限されています。

ユニークな事例

この制度は、球団の数が増える際に頻繁に行われるものですが、各年のエクスパンション・ドラフトでは必ずしも全チームが選手を指名するわけではありません。例えば、2006年には前述の通り、富山と高松は未指名でしたが、他のチームは選手を指名し、新規チームが戦力を固める手段として機能しました。また、2014年や2016年には分配ドラフトが行われ、他の地域からの選手移籍が見られました。

アメリカやカナダでの実施

アメリカのメジャーリーグのように、多くのプロスポーツリーグでエクスパンション・ドラフトは採用されており、これにより各チームが新たに競争力を持つ選手を獲得するための機会が提供されます。メジャーリーグ・ベースボール（MLB）では、最初に導入されたのは1960年代であり、他のプロスポーツリーグでも同様に新クラブのための選手選抜の仕組みが整えられています。

結論

エクスパンション・ドラフトは新規チームが設立される際、既存チームから選手を選ぶための重要な制度です。日本の各リーグでも実施されており、特に新たな競技環境を作り出す役割を果たしています。これにより、プロスポーツの競争が促進され、多様なチーム編成が可能となるのです。

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