エクスプローラー6号

エクスプローラー6号（Explorer 6、S-2）は、アメリカ合衆国が1959年8月7日に打ち上げた人工衛星です。その主な目的は、宇宙空間における捕捉放射線の観測、電磁圏での電波伝播の観測、そして流星塵のフラックス測定でした。この衛星は、小型で球形をしており、科学観測機器の他に、歴史的な意義を持つ写真スキャンデバイスを搭載していました。このスキャンデバイスによって、エクスプローラー6号は、軌道上から初めて地球に写真データを送信することに成功し、宇宙からの視覚情報を地球に届けるという新たな時代を切り開きました。

衛星の姿勢制御には、スピン安定方式が採用され、毎秒2.8回転で自転していました。回転軸は赤経217度、赤緯23度に設定され、四つの太陽電池パドルを備えていました。しかし、打ち上げ後の回転速度が予想よりも速かったため、四つの太陽電池パドルのうち三つしか完全に展開することができず、衛星の電力供給能力は当初の63%にとどまりました。さらに、時間とともに電力は徐々に低下していき、打ち上げから約2ヶ月後の1959年10月6日には、電力不足により通信が完全に途絶えてしまいました。

また、エクスプローラー6号は、その運用期間中に別の歴史的な出来事にも関わっています。1959年に行われた衛星攻撃兵器の実験において、エクスプローラー6号は標的として設定されました。この実験は成功し、ミサイルは衛星から6.4km以内の地点を通過しました。これは、宇宙空間での兵器実験が現実のものとなったことを示す出来事でした。

エクスプローラー6号は、1961年7月1日に軌道減衰し、大気圏に再突入しました。その短い運用期間にもかかわらず、エクスプローラー6号は、科学観測、技術革新、そして宇宙開発の歴史において重要な役割を果たしました。それは、宇宙からの初の写真データ送信を成し遂げ、宇宙空間での兵器実験の標的ともなり、宇宙開発の黎明期における様々な側面を象徴する存在となりました。

参考文献:
NASA's Explorer Missions
Space Technology Laboratories Documents Archive
Scientific findings from Explorer VI

関連項目:
アーガス作戦

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