エケストラトス

エケストラトスは、古代スパルタのアギス朝に属する王であり、紀元前900年から紀元前870年頃にかけてその王位にありました。

彼は先代の王アギス1世の息子として生まれ、その死後に王位を継承しました。そして、彼の後継者として王位に就いたのは、息子のレオボテスです。このように、エケストラトスはアギス朝の王統において、重要な位置を占めていました。

彼の治世において特筆すべき出来事として記録されているのは、アルゴリス地方との境界線に位置するキュヌリアの征服です。

当時の資料によれば、スパルタがこの軍事行動に踏み切った背景には、キュヌリアを拠点とする集団が、スパルタ人にとって同族であるアルゴス人が居住するアルゴリス地方へ侵入し、略奪行為や被害を加えていたという状況がありました。

スパルタ側は、このキュヌリアによるアルゴス人への加害行為を、軍事的な介入を行うための正当な理由として掲げました。彼らは、同族のアルゴス人が受けている被害を看過できないとし、キュヌリアそのものもアルゴリス地方への侵略行為を行っていると主張したのです。

このような口実のもと、エケストラトス王の指導の下、スパルタ軍はキュヌリアへの進攻を開始しました。そして、軍事的な力によってこの地域を制圧することに成功しました。

キュヌリアを征服した後、スパルタは支配を確固たるものとするため、極めて厳しい措置をとりました。それは、キュヌリアに住む壮年の男性たちをその土地から追放するというものでした。これは、将来的な抵抗や反乱の可能性を排除し、新たに獲得した領土の安定を図るための非情な手段でした。

エケストラトスの治世におけるキュヌリア征服は、スパルタの領土を拡大すると同時に、古代ギリシャ世界における有力なポリスであったスパルタとアルゴスとの間に横たわる長期的な対立関係を一層深める出来事となりました。

彼の時代のスパルタは、着実にその勢力圏を広げ、後のペロポネソス半島の盟主としての地位を確立していく過程にありました。エケストラトス王の治世は、スパルタの歴史において、その軍事的な性格と領土拡大の志向を示す一時期であったと言えるでしょう。

もう一度検索