エコー (たばこ)

国産たばこ「エコー」

歴史と概要

「エコー」は、日本たばこ産業（JT）が手掛ける国産の紙巻たばこ銘柄の一つです。かつては「旧3級品」と呼ばれるカテゴリーに属しており、税制上の軽減措置が適用されていました。そのパッケージは、オレンジ色を基調に茶色のストライプがあしらわれたソフトパック仕様が特徴です。

長らく、フィルター付きの紙巻たばこの中では最も安価な部類に位置づけられていました。特に、同時期に旧3級品であった「ゴールデンバット」や「しんせい」が2016年にフィルター付きに切り替わるまでは、沖縄県限定の「バイオレット」と並び、国内で手に入るフィルター付きたばことしては破格の価格帯を維持していました。

増税期における動向

近年のたばこ税の相次ぐ増税とそれに伴う価格上昇は、たばこ銘柄間の売上シェアに大きな変化をもたらしました。多くの銘柄が値上げされる中で、比較的安価なエコーは注目を集めるようになります。特に2010年10月のたばこ税増税以降、その傾向は顕著となりました。かつては売上上位20銘柄の圏外にあったエコーが、2010年度には19位に、そして2011年度にはなんと8位へと急浮上し、国内たばこ市場全体の1.8%のシェアを獲得するに至りました。

この売上増の背景には、旧3級品に適用されていたたばこ税の軽減措置がありました。しかし、この措置は2016年4月以降、段階的に縮小・廃止されることが決定しました。これに伴い、エコーを含む旧3級品は値上げを余儀なくされ、エコーも2018年4月1日からは1箱350円となりました。

紙巻たばこからの撤退と復活

税制変更と価格上昇を経て、エコーは大きな転換期を迎えます。2019年10月、JTは「わかば」「ゴールデンバット」といった他の旧3級品銘柄と共に、エコーの紙巻たばことしての製造・販売を終了することを発表しました。

しかし、エコーという銘柄自体が完全に消滅したわけではありませんでした。紙巻たばこ廃止に先立つ2019年9月中旬には、リトルシガー（シガー葉を巻いたたばこ）の「エコー・シガー」として新たな形態で発売され、銘柄名を継承しました。

そして時を経て、エコーは再び紙巻たばことして姿を現します。2024年8月、JTは紙巻たばこの「エコー・KS」としてリニューアル発売することを発表しました。この新しいエコーは、従来のレギュラーサイズ（70mm）からキングサイズ（85mm）へと巻長が変更されています。これは、消費者の嗜好の変化や市場の動向に対応するための変更と考えられます。

関連情報

エコーが属していた「旧3級品」とは、かつて国のたばこ専売制度下で製造・販売されていた葉たばこの等級を由来とするもので、税負担が軽減されていました。エコーの他に、ゴールデンバット、しんせい、わかば、うるま、バイオレットといった銘柄が旧3級品とされていました。

また、エコーは漫画作品にも登場しています。『CYBORGじいちゃんG』では主人公の壊造時次郎が、『アドリブ王子』では主要人物の一人であるユリエが愛用するたばことして描かれています。さらに、俳優の松田優作氏もエコーを愛好していたといわれています。これらの文化的側面も、エコーという銘柄が多くの人々に親しまれていたことを示しています。

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