エジプトの国章

エジプトの国章は、1984年10月4日に制定されたエジプトを象徴する紋章の一つです。特徴的なのは、黄金色の鷲が左を向いているデザインで、胸元にはエジプト国旗の色である赤、白、黒の三色が垂直に配置された盾を抱えています。鷲の足元には、「エジプト・アラブ共和国」とアラビア語で記された帯が添えられています。

この黄金の鷲は、「サラディンの鷲」とも呼ばれ、20世紀の汎アラブ主義の象徴として重要な役割を果たしました。1958年にエジプトとシリアが合併して「アラブ連合共和国」が成立した際から、シリアが連合を離脱した後もエジプトが単独でアラブ連合を名乗り続けた1971年まで、鷲の胸の位置には二つの星が配されていました。これは、エジプトとシリアの結束を表すものでした。

1972年には、リビア、シリア、エジプトの三か国による「アラブ共和国連邦」が成立したことに伴い、国章は一時的に「クライシュ族の金色の鷲」に変更されました。しかし、この連邦は1977年に解消され、その後も1984年まで「クライシュ族の金色の鷲」が使用されていました。

「サラディンの鷲」については、考古学者や歴史学者の間で様々な議論がなされています。この鷲のシンボルは、元々サラディン（サラーフ・アッディーン）が建設したカイロの城塞の西壁に存在していました。一般的には、これがサラディン個人の象徴と見なされてきましたが、サラディンが実際に鷲を自身のシンボルとして使用していたという確固たる証拠は乏しく、サラディンと鷲の関連性については疑問の声も上がっています。

ギャラリー

エジプトの国章

1958年から1971年まで使用された国章

アラブ共和国連邦時代の国章

現在のエジプトの国章

様々な国章

エジプトの紋章

国章の例

関連項目

エジプトの国旗
イラクの国章
シリアの国章
国章
* 国章の一覧

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