エジプト・ステーション

エジプト・ステーション：ポール・マッカートニーの新たな音楽の旅

ポール・マッカートニーが2018年9月7日にリリースした『エジプト・ステーション』は、彼の通算17作目となるスタジオアルバムです。このアルバムは、2013年にリリースされた『NEW』以来、5年ぶりに発表されたオリジナルアルバムであるだけでなく、マッカートニーが古巣であるキャピトル・レコードに再移籍してからの初の作品でもあります。

アルバムのタイトルは、マッカートニー自らが1988年に描いたイラストにインスパイアされています。「エジプト・ステーション」という言葉について、マッカートニーは「本当に好きなフレーズで、過去のアルバムを思い出させる。この作品は駅を出発点に、各楽曲が異なる駅のように感じられる。全ての曲が音楽が織り成す夢のような空間を表現している」と語っています。

レコーディングと制作

このアルバムのレコーディングは、ロサンゼルスやロンドン、サセックスのスタジオで行われました。主にグレッグ・カースティンとの共同プロデュースで作られましたが、一曲だけライアン・テダーによるプロデュースが施されています。収録曲の一つ、「バック・イン・ブラジル」は、サンパウロにあるKLBスタジオで録音されました。このように、制作のプロセスは多様な地域とクリエイターの協力によって成り立っています。

アルバムの第一弾シングル「アイ・ドント・ノウ / カム・オン・トゥ・ミー」は2018年6月20日に発表され、その後「ファー・ユー」や「フー・ケアズ」といったシングルも続けてリリースされました。2019年には「ゲット・イナフ」が追加シングルとして発表され、アルバムのエクスプロラーズ・エディションにも収録されています。

プロモーション活動

アルバムのプロモーションも多彩でした。2018年6月6日、マッカートニーは公式Instagramの投稿を削除し、シンボルや楽器の写真をアップすることで新作の発表を予告しました。正式なアルバムタイトルは、彼の76歳の誕生日である6月18日に公表されました。翌日には、初のシングルが発売される旨のアナウンスがあり、続いてアルバムのリリース日やレコーディング情報が発表されました。

彼はCBSの人気番組『レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン』に出演し、生で「カム・オン・トゥ・ミー」のパフォーマンスを行うなど、幅広いプロモーションを展開しました。7月にはロンドンでのシークレットライブや、アビー・ロード・スタジオでの特別イベントも行われました。

チャートでの成功

『エジプト・ステーション』は、発売直後の2018年9月22日付Billboard 200で初登場1位を記録し、マッカートニーのアルバムが全米チャートで1位を獲得するのは36年ぶりの快挙となりました。このアルバムは、彼にとって特別な意味を持つ作品としてファンに受け入れられました。イギリスの全英アルバムチャートでは最高3位、日本のオリコン週間アルバムランキングでは6位を獲得し、各国での人気を証明しました。

エクスプロラーズ・エディション

2019年5月には「エジプト・ステーション (エクスプロラーズ・エディション)」がリリースされ、ボーナスディスクとして『エジプト・ステーションII』が付属しました。このエディションには、リリース後に発表されたシングルや、サプライズライブからの音源も収録され、コレクターに喜ばれる限定版としても注目されました。

このように、『エジプト・ステーション』は単なる音楽作品ではなく、マッカートニーの音楽的冒険と独自の世界観が詰まった貴重なアルバムです。

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