エジプト第3中間期

エジプト第3中間期の概要

エジプト第3中間期は約紀元前1069年から始まり、古代エジプトの歴史において重要な時代を示します。この時期の区分には多くの学者による見解の相違があり、第20王朝の終わりをもって始まり、終了時期については第22王朝の末からアッシリアの征服、さらにはアケメネス朝の支配まで、さまざまな解釈が存在します。ここでは主に第21王朝から第26王朝までの流れについて解説します。

第3中間期の始まりと王朝の変遷

新王国時代の繁栄を背景に、テーベのアメン神官団は大きな力を持つようになり、アメン大司祭は実質的に王として振る舞っていました。このような状況下で、第20王朝が崩壊し、新たに成立した第21王朝とアメン大司祭国家との間で協力関係が築かれました。これに続いて、リビア人が中心となる第22王朝が紀元前945年に登場し、以降は王権側とアメン神官団との関係が徐々に変化していきました。

第22王朝の中頃には、中央権力が衰退し、それぞれが独立した状態になりました。この時期、タニスを拠点とする第22王朝、レオントポリスを中心とする第23王朝、サイスの第24王朝など、複数の王朝が並立し、外敵の侵入を招くこととなります。ヌビア人の王であるピアンキによって征服されたことは、第25王朝として知られることになります。

第25王朝と文化的吸収

ヌビア人も前の王朝同様、エジプト文化を尊重しつつ独自の体制を維持しましたが、彼らは常に故地であるヌビアに拠点を持っていました。紀元前7世紀には、力を増していたアッシリアがエジプトに迫り、第25王朝は隣国との連携を図りながら抵抗を試みましたが、タハルカ王がアッシリアに敗北した後、逃れることとなります。その後もアッシリアはエジプトの貴族を抑えつつ、サイスの支配者にエジプトの管理を任せることが行われました。

第26王朝とギリシア文化の影響

アッシリアの弱体化に伴い、第26王朝が自立を果たし、エジプトの新たな時代を迎えます。この王朝の時期には、ギリシア人やカリア人の傭兵たちが重要な役割を果たし、エジプトの歴史がギリシア世界に伝わります。特に、サイス・ルネサンスと呼ばれる古王国を模した復古的な芸術活動が花開き、この時代のエジプト文化は急速に発展しました。

しかし、第26王朝も紀元前525年にアケメネス朝によって征服され、その歴史は新たな段階を迎えることとなります。

国際関係の変化とエジプトの戦略

第3中間期には、新王国末期による混乱によってシリアに対する支配を失い、ヌビアへの統制もおぼつかない状況となります。特に、シリアでは「海の民」と呼ばれる民族の活動により、多くの都市が没落し、文化的にも複雑化していきます。この動乱によって、エジプトとその周辺の勢力の間で拡張競争が起こり、枠組みが変わっていきました。

エジプトは時折シリアへの軍事介入を行ったものの、アッシリアの圧力には対抗しきれず、最終的にはその支配下に置かれます。シリア諸国もエジプトの助けを必要としましたが、この時期のエジプトは再び力を取り戻せることなく、その歴史がアッシリアの侵略によって続いていくことになります。

このようにエジプト第3中間期は、王朝の変遷とともに外部からの影響を大きく受けた複雑な時代であり、文化の融合や衝突が織りなす重要な歴史の一ページとなっています。

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