エストニア保守人民党

エストニア保守人民党（EKRE）は、エストニア共和国において重要な役割を果たす民族主義政党です。同党は、リーギコグ（エストニア議会）と欧州議会に議席を持ち、国内政治に大きな影響力を持っています。

一般的には右派、あるいは極右政党として分類されています。その政策の中心には、欧州連合（EU）への懐疑的な姿勢と、移民の流入に対する強い反対があります。近年、EUの統合強化や多文化共生に対する批判を積極的に展開し、国民の支持を集めてきました。

2022年、ロシアがウクライナに侵攻した際には、ウクライナへの強力な支援を表明したカヤ・カッラス政権とは異なる立場を取りました。EKREは、ウクライナ支援がエストニアの安全保障を脅かすものだと主張し、政府の政策を批判しました。

2023年3月5日に行われたエストニア議会選挙では、EKREは政府の経済政策、特に高インフレとウクライナへの武器供与を主要な争点としました。同時期、エストニアはEUで最高水準となる18.6％ものインフレ率に見舞われており、国民生活への打撃は大きかったとされています。また、ウクライナへの武器供与によってエストニア自身の防衛力が弱体化すると主張しました。しかし、選挙の結果は17議席にとどまり、カッラス首相率いるエストニア改革党（37議席）に大きく敗北しました。

この選挙結果を受けて、EKREは党内における政策の方向性や戦略の見直しを迫られることとなりました。その後、2024年6月29日、EKREから3議席の議員と青年組織「青い目覚め」が離脱し、新たな政党「エストニアの愛国者と保守主義者」を結成しました。この分裂は、EKRE内部におけるイデオロギー的な対立や権力闘争が背景にあると推測されています。

EKREは、エストニアの政治において、強い民族意識と保守的な価値観を代表する政党として位置付けられています。しかし、その政策は、EUや国際社会との関係に影響を与える可能性があり、国内外から様々な議論を呼んでいます。今後も、EKREの動向は、エストニアの政治情勢を左右する重要な要素となるでしょう。

今後、EKREがどのように党勢を立て直し、国民の支持を取り戻していくのか、また、党内分裂によって生じた新たな政党がどのような影響力を及ぼすのか、注目が集まっています。エストニアの政治状況は、今後も流動的な状況が続くと予想されます。

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