エセックス (空母)

エセックス(CV-9): 海軍の最奮闘艦の生涯

エセックス(CV-9)は、アメリカ海軍のエセックス級航空母艦の1番艦であり、その名はマサチューセッツ州エセックス郡に由来します。太平洋戦争において数々の激戦を経験したことから「海軍の最奮闘艦(Fightingest Ship in Navy)」の愛称で知られています。本稿では、エセックスの波乱に満ちた艦歴を、太平洋戦争での活躍から朝鮮戦争、アポロ計画への関与、そして退役までを詳細に辿ります。

建造と太平洋戦争

1942年7月31日、バージニア州ニューポート・ニューズで進水したエセックスは、同年12月31日に就役。その後、太平洋艦隊に配属され、1943年春には真珠湾に到着しました。この到着は、当時太平洋艦隊司令長官であったチェスター・ニミッツ大将による中部太平洋部隊編成の第一歩として位置づけられました。

エセックスは、南鳥島攻撃、ウェーク島攻撃など、初期の太平洋戦争における主要な作戦に次々と参加。ブーゲンビル島沖海戦では、日本艦隊を撃退するために重要な役割を果たしました。ラバウル空襲にも参加し、日本軍に大きな損害を与えました。その後も、タラワ、クェゼリン環礁、エニウェトク環礁などの作戦で活躍し、マリアナ諸島空襲にも参加しています。

1944年以降も、エセックスはマリアナ・パラオ諸島の戦い、ミンダナオ島攻撃、台湾・南西諸島攻撃など、日本本土への侵攻に向けた作戦に大きく貢献。レイテ沖海戦では戦艦武蔵の撃沈にも関わりました。

しかし、エセックスは神風特攻隊の攻撃も経験。1945年11月25日には、特攻機による攻撃を受け、損害を被りました。それでもなお、エセックスはフィリピン攻略戦、ミンドロ島攻撃、沖縄戦、そして日本本土空襲など、終戦まで精力的に作戦行動を続けました。終戦後も、戦闘哨戒を続け、1947年1月には予備役編入となりました。

朝鮮戦争と近代化改装

朝鮮戦争勃発に伴い、エセックスは1949年2月から近代化改装を実施。ジェット機運用能力を獲得し、1951年1月に再就役しました。朝鮮戦争では、第77任務部隊の旗艦として活躍し、F2Hバンシー戦闘機の初の実戦投入にも貢献。また、鴨緑江近辺の攻撃支援や、平壌爆撃などにも参加しました。

エセックスには、後にアポロ11号の船長となるニール・アームストロングもパイロットとして配属されていたことでも知られています。

冷戦期と退役

朝鮮戦争後も、エセックスはNATO演習への参加、レバノン危機や第二次台湾海峡危機への対応など、冷戦下の様々な任務に従事しました。1960年には対潜支援空母に艦種変更され、その後も、ピッグス湾事件、キューバ危機、アポロ計画など、重要な歴史的出来事に深く関わっています。アポロ7号の帰還時には、宇宙飛行士を収容する母艦として重要な役割を果たしました。

1969年6月30日、エセックスはボストン港で退役。その後、除籍され、スクラップとして売却、解体されました。

受賞とその後

エセックスは、その輝かしい戦功によって、殊勲部隊章、13個の従軍星章、海軍部隊栄誉章、3個の従軍星章を受章しました。その名は、アメリカ海軍の歴史に永遠に刻まれています。 エセックス級空母の中でも特に多くの戦闘に参加し、多くの功績を残した艦として、その艦歴はアメリカ海軍史において重要な位置を占めています。

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