エセックス級航空母艦

エセックス級航空母艦

エセックス級航空母艦（英: Essex-class aircraft carrier）は、アメリカ海軍が第二次世界大戦頃からベトナム戦争まで使用した航空母艦の艦級です。1942年から1946年の間に、23隻が就役し、1950年には追加で未成艦1隻が実用化されました。この艦級は、総建造数がアメリカ海軍史上、艦隊型空母としては最多であることが特徴です。

歴史的背景

エセックス級に至る背景は、1938年にアメリカ海軍が第二次ロンドン軍縮条約により取得した建造枠によります。この条約に基づき、アメリカ海軍は2万トン型空母を新たに建造する計画を立てましたが、活動の中で新型空母の設計が遅れ、その結果、エセックス級空母はヨークタウン級を基に大幅に拡大した27,100トンという基準排水量で建造されることになりました。

設計には、新型機に対応するための複数の性能向上要求が盛り込まれています。たとえば、4個飛行隊（総計72機）の同時発艦を実現するための広い飛行甲板、被弾時のダメージを最小限に抑えるための艦内区画の細分化などが含まれました。これにより、エセックス級空母は高い運用能力と防御力を誇る艦として評価を受けることとなります。

設計特徴

エセックス級の設計は、全通甲板を持ち、飛行甲板の下には第1から第4までの4層の甲板がある船首楼型を採用しています。これにより、各種防御機能と運用時の効率が改善されています。飛行甲板は長さ262.9m、幅32.9mと広く、格納庫甲板も十分なスペースがあります。防御力も強化されており、機関室や居住区は特に優れた防弾設計が施されています。

兵装と防御

エセックス級空母は、その時代の最新鋭の兵装を搭載しています。38口径の5インチ連装砲や、対空機関砲としてボフォース40mmやエリコン20mmが装備され、対空防御能力が大幅に強化されました。また、攻撃機のイントレピッドやフランクリンなど欧米諸国の高角砲火力に対抗するため、戦闘機や爆撃機の搭載能力も向上しています。

特に注目されるのは、第1甲板下の艦載機格納庫の防御能力です。この格納庫は開放型で、航空機のメンテナンスもしやすく、太平洋の高温多湿な環境に適した設計が施されています。しかし、この開放性のために、攻撃を受けた際には誘爆が避けられない時もありました。このことが、沖縄戦を始め多くの戦場でエセックス級空母の損害を引き起こしました。

運用と実績

エセックス級の空母は、太平洋戦争中に日本海軍との厳しい戦闘を経て、終戦を迎えるまで数多くの成功を収めました。特にマリアナ沖海戦やレイテ沖海戦などでは重要な役割を果たし、日本の航空戦力を効果的に削減しました。また、朝鮮戦争やベトナム戦争においても、再評定された艦として活躍し続けたことは評価に値します。

改装と近代化

第二次世界大戦後、航空機技術の進化に合わせてエセックス級空母も数次にわたる改装が行われました。SCB-27やSCB-125などの改装により、ジェット機の運用に対応し、近代化が進みました。これにより、エセックス級は新型の空母と同様に運用できる能力を手に入れました。

退役と現在

エセックス級空母は、時を経て次第に退役し、1980年代までにほとんどが運用を終えました。しかし、その多くは現在も博物館として保存され、航空母艦の歴史的重要性を物語っています。特に「イントレピッド」や「ヨークタウン」は、訪れる人々にとって貴重な教育の場となっています。

エセックス級空母は、その存在からアメリカ海軍に与えた影響が計り知れず、その伝説は今も語り継がれているのです。

もう一度検索