ラバウル

ラバウルの概要

ラバウル（英: Rabaul）は、パプアニューギニアの東ニューブリテン州に位置する町で、2011年のデータによればその人口は4785人です。ニューブリテン島のガゼル半島東側にあり、栄えた港シンプソン湾があります。かつては東ニューブリテン州の州都でしたが、火山活動の影響でココポに遷都されました。

経済と産業

この地域はコプラ、コーヒー、ココアの産地として知られ、農業が重要な経済要素となっています。また、周囲には火山が多く、シンプソン湾自体もカルデラによって形成されています。かつてのドイツ領ニューギニアではシンプソンハーフェンと呼ばれました。

人口の推移

1980年には約1万4954人、1990年には約1万7044人と人口は増加しましたが、2000年には3907人、2011年には4785人と減少傾向にあります。このような変動は、主に戦争や自然災害の影響によるものです。

歴史的背景

ラバウルは1910年にドイツによって設立され、第一次世界大戦までドイツの統治下にありました。1914年にオーストラリア軍によって占領された後、この町はオーストラリアによって管理されることとなりました。第二次世界大戦中、ラバウルは日本軍に占領され、1942年には大規模な軍事拠点としての機能を果たすこととなります。日本軍はここに陸海軍を含む約9万人の兵士を配置し、連合軍からは「ラバウル要塞」と称されました。

日本軍の支配下でも、ラバウルは連合軍からの反攻を受けることになり、1943年の夏以降、補給線が切断される事態となりました。連合軍は、この町の頑強な防備から直接的な攻撃を避け、包囲戦を選択。しかし、戦争期間中、多くの連合軍の攻撃に耐えた日本軍は食料の自給自足体制を構築し、続けて籠城を行います。

火山活動

ラバウルはその地理的特性から複数の火山に囲まれています。最も著名な火山は、536年の噴火が原因とされる著しい気候変動を引き起こした火山です。1878年にはブルカン火山が形成され、1937年には重大な噴火が起こり、多くの人命が失われました。1994年にはタブルブル火山とブルカン火山の同時噴火が発生し、5メートル以上の降灰が市街に降り注ぎ、大きな打撃を受けました。

現在の状況

現在、ラバウルは火山の影響を受けた地域であり、旧市街は降灰に埋もれて放置されていますが、再建の努力が続いています。近くのココポには新しい空港と政府機関が移転されており、かつての栄光を取り戻すための取り組みがなされています。

文化と文学

ラバウルは文化的にも多くの作品に取り上げられています。たとえば、「ラバウル小唄」や「ラバウル海軍航空隊」などの楽曲、さらには水木しげるの著作『水木しげるのラバウル戦記』もこの地を背景にしたものです。これらの作品はラバウルの不屈の精神と歴史を語り継ぐ重要な存在です。

以上のように、ラバウルは歴史的、地理的背景が複雑に絡み合う地域であり、その復興と未来が注目されています。

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