エチミアジン

アルメニアの古都エチミアジン：宗教と歴史が息づく地

エチミアジンは、アルメニアに位置する同国第四の都市であり、アルメニア使徒教会の総本山として世界的に知られています。首都エレバンから西へ約20kmに位置し、アルマヴィル地方最大の都市です。人口は減少傾向にありますが、その歴史的、宗教的な重要性は今も変わりません。かつてはヴァガルシャパトと呼ばれていましたが、現在も正式名称として使われています。

歴史

エチミアジンの起源は、紀元前3世紀から4世紀に遡ります。当初はヴァルデケサヴァンという名前で知られていました。その後、ヴァガルシュ王によってヴァガルシャパトと改名されました。プロコピオスの記録によると、当時の名前はヴァラシャバードで、これはパルティア王子の名前が由来であるとされています。時が経つにつれて、ヴァラシャバードがアルメニア語の慣用によってヴァガルシャパトへと変化しました。

数十年後、エチミアジンはアルメニアの首都となり、4世紀まで同国最大の都市でした。長い歴史の中で、アヴァン・ヴァルデシ、アルテメド、イエジミアツィンなど、様々な別称で呼ばれてきました。

世界遺産

エチミアジンは、その歴史的、文化的な価値から、エチミアジンの大聖堂と教会群、そしてズヴァルトノツの考古遺跡がユネスコの世界遺産に登録されています。これらの遺跡は、アルメニアのキリスト教の歴史と建築の変遷を示す重要な証拠です。

エチミアジン大聖堂

エチミアジン大聖堂は、世界最古の大聖堂の一つであり、この都市の歴史的中心地です。啓蒙者グレゴリオスによって301年から303年の間に建設され、アルメニアが世界で初めてキリスト教を国教とした場所です。大聖堂のすぐ西には聖ティリダテスの門があり、そこから北西にはゲヴォルキアン神学校の建物があります。また、大聖堂の北側には、カチカルと呼ばれる十字架が描かれた石碑が数多く見られます。

その他の教会

エチミアジンには、大聖堂以外にも重要な教会が複数存在します。

スルブ・ガヤネ教会: 630年にカトリコス・エズラによって建てられた教会で、その均整の取れたプロポーションが特徴です。17世紀に修復されたものの、基本的なデザインはそのまま残されています。
スルブ・フリプシメ教会: 618年に建てられ、ほぼ当時のままの姿を保っています。アルメニア最古の教会の一つであり、古代アルメニア建築の典型とされています。
* スルブ・ショガカト教会: 13世紀に建てられ、ドーム型の身廊が特徴的です。

ズヴァルトノツ遺跡

エチミアジンの中心部から東に数キロ離れた場所には、ズヴァルトノツ大聖堂の考古遺跡があります。カトリコス・ネルセス3世によって643年から652年にかけて建設されたこの教会は、独特なデザインで知られていました。聖ゲオルゲの壮大な大聖堂は、アルメニア王ティリダテス3世と啓蒙者グレゴリオスが会談した場所としても知られています。しかし、930年の地震で倒壊し、20世紀初頭に発見されるまで埋もれていました。

1900年から1907年の調査で、大聖堂の基礎だけでなく、カトリコスの宮殿やワイナリーも発掘されました。屋内にはギリシャ十字の、外壁には32角形（ほぼ円形）のフレスコ画が描かれていました。

結論

エチミアジンは、アルメニアの宗教的、歴史的な中心地であり、その壮大な大聖堂や教会群、古代遺跡は訪れる人々を魅了します。アルメニアの歴史と文化を深く理解するための重要な場所として、世界中の人々から注目されています。

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