エッジヒルの戦い

エッジヒルの戦い：イングランド内戦の幕開け

1642年10月23日、イングランド内戦の最初の大きな戦闘、エッジヒルの戦いが勃発しました。この戦いは、国王チャールズ1世と議会派との間の長期にわたる権力闘争の最初の武力衝突であり、両軍合わせて約4000人の犠牲者を出したと推定されています。この戦闘は、イングランドの未来を決定づける上で重要な転換点となりました。

戦いの前哨：両軍の動きと準備

チャールズ1世は8月にノッティンガムで挙兵し、王党派軍を率いて西部へと進軍しました。一方、議会派はエセックス伯ロバート・デヴァルー率いる議会軍を編成し、ロンドンを出発して国王軍に対抗しました。しかし、議会軍は訓練不足で規律も乱れており、略奪行為も横行するなど、組織としては未熟な状態でした。

両軍は資金調達に奔走しました。議会軍はロンドンの長期議会からの支援を受け、国王軍はオックスフォード大学からの資金提供や、ジョン・バイロンらによる志願兵の獲得に成功しました。戦闘開始前には、ルパート王子率いる国王軍と議会軍との小競り合いも発生しています。

チャールズ1世は、ロンドンへの直接進軍か、議会軍との決戦かの選択を迫られました。最終的に、ルパート王子の進言を受け、エッジヒルの丘を占領し、議会軍との決戦に臨むことを決断しました。

戦闘の推移：騎兵の活躍と歩兵の死闘

エッジヒルの戦いは正午過ぎに始まりました。激しい砲撃の後、ルパート王子率いる国王軍右翼の騎兵隊が、議会軍左翼へ猛烈な突撃を行いました。議会軍左翼は押し切られ、壊走しました。国王軍左翼もこれを追撃し、議会軍の両翼は完全に崩されました。

しかし、深追いした国王軍の騎兵隊は、中央に残された議会軍の歩兵隊と騎兵隊の反撃を受けました。激戦の末、国王軍は一時的に劣勢に陥り、司令官であるリンジー伯は重傷を負い捕虜となり、翌日死亡しました。

国王軍騎兵隊が戦場に戻ると、形勢は再び逆転し、両軍はにらみ合いを続けました。日没を迎え、両軍とも兵士の脱走が続出し、翌朝、戦闘は終結しました。

戦いの結果とその後：混沌とした情勢

この戦闘は、どちらの軍が勝利したか明確ではありませんでした。両軍はそれぞれ勝利を主張しましたが、実際には決着がつかず、戦況は膠着状態となりました。チャールズ1世はロンドン進軍を阻まれましたが、議会軍も大きな損害を受け、戦意を失っていました。

この戦いの後、国王軍は一時的に優勢を保ちましたが、ブレントフォードの戦いでの略奪行為が議会の態度を硬化させ、最終的に国王軍はロンドン進軍を断念し、オックスフォードへ撤退しました。この戦いは、後に重要な役割を果たすオリバー・クロムウェルにも大きな影響を与え、彼による鉄騎隊の編成を促すことになります。

エッジヒルの戦いは、イングランド内戦の始まりを象徴する戦闘であり、その後の内戦の展開に大きな影響を与えました。この戦闘は、単なる軍事的な衝突ではなく、イングランドの政治、社会、そして軍事構造の変革の過程における重要な出来事だったと言えるでしょう。

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