エティエンヌ・ピヴェール・ド・セナンクール

エティエンヌ・ピヴェール・ド・セナンクール

エティエンヌ・ピヴェール・ド・セナンクール（1770年11月16日 - 1846年1月10日）は、フランスの著名な作家でありモラリストです。彼はパリに生まれ、19世紀初頭に活動を開始しました。彼の作品は、特に青年の苦悩や内面的な彷徨をテーマにしており、その中でも最も知られているのが長編書簡体小説『オーベルマン』です。

『オーベルマン』の影響と評価

『オーベルマン』は、1804年に発表され、瞬く間に広く読まれるようになりました。この作品は、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』に匹敵するほどの人気を博しました。特に、青年たちの精神的な葛藤や存在の不安が描かれており、当時の読者には深い共鳴を呼びました。

また、この小説は音楽にも影響を与えており、著名な作曲家フランツ・リストは自作『オーベルマンの谷』の冒頭に、セナンクールの『オーベルマン』からの一節を引用しています。このことからも、彼の作品が文学や音楽の枠を超えた影響力を持っていたことが分かります。

主な著作

セナンクールの作品は多岐にわたり、彼の思想や哲学が色濃く反映されています。以下に、彼の主な著作を紹介します：

• - Les Premiers Ages. Incertitudes humaines (1793)：人類の初期段階に関する不確実性を考察した著作。
• - Aldomen ou le bonheur dans l’obscurité (1795)：暗闇の中に見出される幸福についての物語。
• - Rêveries sur la nature primitive de l’homme (1799)：人間の原始的な本質についての瞑想。
• - Obermann (1804)：前述の通り、彼の代表作であり、多くの反響を呼んだ作品。
• - De l’amour (1806)：愛についての考察を含む哲学的エッセイ。
• - Valombré (1807)：フィクションと思想が融合した作品。
• - Lettre d’un habitant des Vosges sur MM. Buonaparte, de Chateaubriand, Grégoire, Barruel (1814)：当時の社会情勢についての手紙。
• - Observations critiques sur l’ouvrage intitulé 'Génie du christianisme' (1816)：クリスチャン思想に関する批評。
• - Résumé de l’histoire de la Chine (1824)：中国史の概要をまとめた作品。
• - Résumé de l’histoire des traditions morales et religieuses (1825)：道徳的、宗教的な伝統の歴史を解説。
• - Isabelle (1833)：自己の思索が存分に反映された短編小説。
• - Ynarès ou conjectures sur le sort futur de l'homme：未来に関する考察が盛り込まれた未完の作品。

まとめ

エティエンヌ・ピヴェール・ド・セナンクールは、青年の内面的な葛藤を繊細に描写し、その作品は後の世代の文学に深い影響を与えました。彼の著作は、ただの小説にとどまらず、人間存在や愛、道徳といったテーマを探求するフィロソフィカルな側面も兼ね備えています。これらの作品は今日でも多くの人々に読まれ、評価されています。彼の文学的な遺産は、フランス文学の重要な一部として今なお輝きを放っているのです。

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