エディンバラ (軽巡洋艦)

軽巡洋艦「エディンバラ」の生涯

「エディンバラ」(HMS Edinburgh, C16)は、イギリス海軍が誇るタウン級軽巡洋艦の一隻として、激動の時代を駆け抜けました。1936年12月30日にスワン・ハンター社で起工し、1939年7月6日に竣工。その艦歴は、第二次世界大戦の荒波にもまれながらも、数々の重要な任務を遂行しました。

初期の任務と北海での戦い

竣工後、「エディンバラ」は第18巡洋艦戦隊に編入されましたが、すぐに第2巡洋艦戦隊へと異動。開戦当初は、アイスランドとシェトランド諸島の間で商船の捜索や臨検活動に従事しました。1939年10月には、ドイツ軍の爆撃機による攻撃を受け、死傷者を出すという痛ましい経験もしました。その後は、北海での船団護衛任務に就き、仮装巡洋艦「ラワルピンディ」の救援に向かうも、敵の通商破壊艦の捜索は不成功に終わりました。

1940年3月には長期間の修理に入り、その後、再び第18巡洋艦戦隊に復帰。兵員輸送船団の護衛任務を経て、北大西洋で活動するドイツ通商破壊艦の捜索に参加しましたが、誤報であることが判明し、年末に帰港しました。

戦火の中での活躍

1941年になると、「エディンバラ」はロフォーテン諸島への攻撃作戦の支援や、中東への船団護衛任務に従事しました。ドイツ戦艦「ビスマルク」追撃戦にも参加しましたが、敵との遭遇は果たせませんでした。その後、デンマーク海峡での哨戒や、マルタへの輸送作戦に参加するなど、各地を転戦。1941年後半には、ソ連への輸送船団護衛にも従事しました。

1942年に入ると、ソ連向けの船団護衛任務が本格化。「エディンバラ」は、PQ13、QP9、PQ14といった船団を護衛し、ソ連への重要な物資輸送を支援しました。しかし、この時期の航海は、氷や悪天候、そしてドイツ軍の潜水艦による脅威に常にさらされていました。

最後の航海と沈没

1942年4月28日、「エディンバラ」はQP-11船団を護衛し、コラ半島を離れました。その航海の最中、ドイツ潜水艦「U456」の魚雷攻撃を受け、大きな損傷を被りました。応急処置により沈没は免れたものの、操舵装置を破壊され、航行不能に陥ってしまいます。曳航されながらムルマンスクへの帰還を試みましたが、ドイツ軍の駆逐艦の襲撃を受け、交戦。この戦闘で、「エディンバラ」は主砲で敵駆逐艦「ヘルマン・シェーマン」を撃破するも、自身も魚雷攻撃を受け、ついに沈没しました。

海底からの金塊回収

沈没した「エディンバラ」には、連合国がソ連に送る軍需物資の代金として、4.5トンの金塊が積まれていました。この金塊をめぐり、1950年代から引き揚げの試みが行われましたが、東西関係の緊張などから実現しませんでした。しかし、1980年代になり、ベテランダイバー、キース・ジェソップ率いるチームが、海底に眠る「エディンバラ」の捜索を開始。1981年4月に発見され、慎重な引き揚げ作業の結果、465個中431個の金塊が回収されました。この回収劇は、多くの人々の記憶に刻まれることになりました。

「エディンバラ」は、その生涯を通じて数々の困難に立ち向かい、激戦を戦い抜きました。その勇姿と、海底に眠る金塊を巡るドラマは、今もなお語り継がれています。



参考文献

M. J. Whitley, Cruisers of World War Two: an International Encyclopedia, Naval Institute Press, 2000, ISBN 1-55750-141-6
Neil McCart, Town Class Cruisers, Maritime Books, 2012, ISBN 978-1-904-45952-1
パトリック・ムトン『スターリンの金塊　海底からの奪還』本城靖久・関邦博訳、丸善ライブラリー, 1993

関連情報

イギリス海軍艦艇一覧
* HMS Edinburgh memorial site

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