エディ・オフォード

エディ・オフォードは、イギリス出身の音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニアとして、プログレッシブ・ロックの隆盛期を支えました。特に1970年代初頭から、イエスやエマーソン・レイク・アンド・パーマー（ELP）といった、当時を代表するバンドの作品を数多く手がけ、その名を広く知られるようになりました。

キャリアの始まりと才能の開花

大学では薬学を専攻していたという異色の経歴の持ち主ですが、音楽への情熱からエンジニアの道へと転身。ロンドンの「Advision Studios」などでキャリアをスタートさせました。彼のレコード原盤制作における最も特筆すべき実績は、イエスとELPという2つの巨大バンドの代表作において、共同プロデュースとエンジニアリングの両方を担当したことです。

オフォードの才能は、特に磁気テープの編集作業において際立っていました。彼は単に楽曲を再構築するだけでなく、マルチトラック・テープを駆使し、録音機材を楽器のように自由自在に操ることで、革新的な音楽制作を実現しました。具体的には、あるテイクのパートを別のテイクのマルチトラック・テープに移動させて編集するなど、当時の常識を覆すような手法を開発し、実践していました。

イエスとの蜜月

彼のテープ編集技術は、イエスの音楽制作において特に重要な役割を果たしました。アルバム『こわれもの』、『危機』、『海洋地形学の物語』に収録された長尺の楽曲群は、彼の技術なしには生まれなかったと言っても過言ではありません。オフォードの貢献は、イエスの音楽性に多大な影響を与え、彼が「6人目のイエス」と呼ばれるほどでした。

その他の活動と引退

イエス、ELP以外にも、パット・アーノルド、テイスト、テリー・リードなど、多岐にわたるミュージシャンやグループの作品制作に携わりました。

しかし、1999年にミュージック・ビジネスから引退。イエスのファン・サイトに掲載されたインタビューでは、引退の理由について「音楽はもはや私の人生の中では大きな部分を占めていない」と語っています。現在は南カリフォルニアで静かに暮らしているようです。

エピソード

ELPのアルバム『タルカス』に収録されている楽曲「アー・ユー・レディ・エディ (Are You Ready Eddy?)」は、彼を題材にした曲として知られています。また、1972年にイエスを脱退したビル・ブルーフォードの後任として、アラン・ホワイトを推薦したというエピソードも残っています。彼は、イエスにはもう少しロック色の強いドラマーが必要だと考えたようです。

関連作品

その他、T.Lavitz (元・The Dregs) のソロ・アルバムや、アメリカのプログレッシブ・ロック・バンド Art in America のアルバムにおいてもプロデューサーとしてクレジットされています。

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