エド (ストリートファイター)

エド

『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物、エドは、異質な出自と特異な能力を持つ若者です。彼の物語は、単なる格闘家としての枠を超え、己の宿命と向き合い、新たな道を切り拓く過程を描きます。

出自、バイソンとの出会いと成長

エドが初めてその姿を見せたのは、『ストリートファイターIV』におけるマイク・バイソンのエンディングでした。この頃はまだ名前も無く、S.I.N.社によってベガの代替ボディ候補として研究されていた幼い子供でした。施設の崩壊に乗じて、金銭目的で乗り込んできたバイソンによって彼は救い出されます。

本格的にキャラクターとしてクローズアップされるのは『ストリートファイターV』においてです。この作品で「エド」と名付けられた彼は、10代の少年から青年へと急速に成長した姿で登場します。当初は他のキャラクターのストーリーに登場するサブキャラクターでしたが、シーズン2からはプレイアブルキャラクターとして参戦。ここで、バイソンから叩き込まれたボクシング技術と、研究体であったことに由来するサイコパワーを組み合わせた独自の戦闘スタイルが設定されました。

彼の名前「エド」は、初登場シーンがバイソンのエンディング（ED）であったことから、開発中の「EDの男の子」という呼称をデザイナーが名前と勘違いしたことに由来するというユニークなエピソードがあります。

能力、内面の葛藤、そして独立

S.I.N.社の研究体であったため、エドはサイコパワーを操る能力を持っています。右の掌にはその出自を示すシャドルーの紋章が刻まれています。基本的な能力として、物体に触れずに動かしたり、サイコパワーで燃やしたりすることができますが、プレイアブルキャラクターとしてはサイコパワーを塊にして放つ飛び道具などの必殺技も使用します。サイコパワーの影響は肉体にも及んでおり、その成長速度は驚くほど速く、短期間で服を買い替えるほどです。この異常な成長速度は、バイソンと共にいるF.A.N.G（ファン）にも懸念されるほどでした。

バイソンの下で過ごす日々の中で、エドは内面に深い苦悩を抱えていました。「自分が自分ではなくなり、ベガに支配される」という悪夢を毎日のように見ており、シャドルー崩壊後もそれは続きました。その恐怖から、バイソンと離れて自立することを決意します。最初はバイソンに「まだ弱いヒヨコ」として突き放されますが、自身の未熟さを理解させようとするバイソンとの戦いに勝利し、互いに別々の道を歩むことになります。

ネオ・シャドルーの結成と宿命への立ち向かい

バイソンから独立したエドは、かつてシャドルー健在時に出会った占い師の少女（メナト）の言葉を思い出します。「このまま大人になると君は自分の中に閉じ込めているもの（サイコパワー）に支配されてしまう」「君たちも大変だね」というその言葉から、「君たち」とは自分と同じくシャドルーの研究体であった者たちを指しているのだと悟ります。自らの悪夢と、同境遇の者たちの存在を知ったエドは、彼らを集め、新たな組織を結成することを決意します。それが「ネオ・シャドルー」です。

『ストリートファイターV』の時点では、ネオ・シャドルーという名称はエドたちが自称したものではなく、シャドルー残党など外部からそう呼ばれるようになったことが『ストリートファイター6』で明かされます。しかし、『スト6』において元シャドルー幹部であるJPとの決着をつけた後、エドは「オレたちはネオ・シャドルーを名乗ってやるが、誰の思惑にも乗らない」と宣言。この名称を自らの意志で背負い、同胞を救い、自身の宿命に立ち向かう若きリーダーとしての覚悟を示しました。組織のロゴマークには、横にした雷マークの中にさらに雷マークが描かれています。『ストV』のエンディングでは、ファルケを含む3人の仲間と共に歩む姿が描かれています。

人物像

エドの人物像はシリーズを通して変化しています。『ストリートファイターIV』では、バイソンに怯え、サイコパワーを暴走させてしまうほど臆病な子供でしたが、『ストリートファイターV』ではバイソンに心酔し、他人を挑発するような不遜な態度が目立つようになります。

しかし、その粗暴さの裏には、意外な一面も持ち合わせています。他人を欺くコーリンに説教したり、ケンには家族を大切にするよう助言するなど、良識を持ち合わせている様子を見せます。バイソンから独立した『ストリートファイター6』では、自分と同じくシャドルーの研究体であった者たちを解放するために戦うなど、自分なりの正義を掲げていることが明らかになります。また、自分を慕って入門してきたアバターに対して、ぶっきらぼうながらも熱心に指導する面倒見の良さも見せており、その本質は悪人ではありません。ドーナツを見て美味しそうだと純粋に欲しがるような子供っぽい一面や、ファルケに「研究材料にされた者たちを救うため、もっと強くならなければならない」と本音を吐露するなど、真摯な一面も持ち合わせています。さらに、『スト6』のワールドツアーモードではカードゲームに興じるなど、現代っ子らしい側面も描かれています。

ゲーム上の特徴

エドのゲームプレイにおける最大の特徴は、『ストリートファイターV』で初めて採用された、必殺技がレバーとボタンの組み合わせで発動できるコマンドレスシステムです。これは、従来の複雑なコマンド入力が不要なため、初心者でも比較的容易に必殺技を出せるという斬新なものでした。キャラクター性能としては、飛び道具、対空技、突進技といった基本となる技が一通り揃ったスタンダードなタイプです。ただし、特定の特殊技を持たず、しゃがみガードを崩す中段技が少ないといった特徴もありました。VスキルやVトリガーといったシステムをどう活用するかが重要となるキャラクターでした。

『ストリートファイター6』では、クラシック操作タイプにおいては必殺技の入力が一般的なコマンド形式に変更されています。これにより、従来のストリートファイターシリーズと同様の操作感でプレイすることが可能となりました。

担当声優

沢城みゆき（『ストリートファイターIV』シリーズ）
吉野裕行（『ストリートファイターV』、『ストリートファイター6』）
* エドワード・ボスコ（『ストリートファイターV』、『ストリートファイター6』英語版）

もう一度検索