エドゥアルト・ロシュマン

エドゥアルト・ロシュマン

エドゥアルト・ロシュマン（Eduard Roschmann、またはエドワルド・ロシュマン）は、1908年11月25日にオーストリアのグラーツで誕生した。彼はナチス親衛隊大尉として、第二次世界大戦中、リガ近郊のカイザーヴァルト強制収容所の所長を務め、リガ・ゲットーの副司令官という役割も担った。ロシュマンは、ドイツ系ユダヤ人の迫害に関与したため、「リガの屠殺人」と呼ばれることとなった。

生い立ちと親衛隊入隊

ロシュマンは、若い頃からリキュール代理商として働き、ビール醸造・スピリッツ蒸留工場にも従事していた。また、オーストリア・ナチス党に参加して活動していた。1938年にオーストリアがドイツに併合されると、彼はナチス親衛隊に加入し、大尉としての任務を開始した。この時、彼は隊員番号152681を与えられた。

ユダヤ人迫害と収容所運営

ロシュマンは1940年代にリガ・ゲットーの副司令官、続いてカイザーヴァルト強制収容所の所長として務め、多くのユダヤ人を虐殺した。彼は老若男女を問わず、計画的に大量殺戮を行った。その過程で、犠牲者たちの服、毛髪、歯などは金銭的な資産として処理され、収容者たちは1日18時間もの労働を強いられ、飢饉や寒さに苦しむことから、過酷な生活を余儀なくされた。

報告によれば、ロシュマンは囚人たちを一箇所に集めては服を奪い、瀕死の状態にある囚人に犬をけしかけ、その様子を楽しんでいたとされる。その結果、彼の手によって約35,000人が命を奪われる悲劇が起こった。

戦後の逃亡と逮捕

第二次世界大戦後、ロシュマンはドイツ国防軍伍長の制服を着用することで、連合軍からの逮捕を免れ、グラーツの家族の元へ戻ることに成功した。しかし、1947年末にはネオナチ組織との関わりが発覚し、オーストリア警察に逮捕される。これにより、彼は更なる逃亡を余儀なくされる。

アルゼンチンでの生活

ロシュマンは、その後ナチス逃亡協力者組織の手助けを受けてオーストリア国内にしばらく潜伏したのち、イタリアのローマを経由してアルゼンチンに移住した。アルゼンチンでは、彼はフレデリック・ウェーゲナーという名前に改名し、ビジャ・デ・マヨで旅行代理店で勤務し、その後家具製作所の共同経営者となった。1955年には秘書と結婚したが、これが妻に知られると、1959年には重婚の容疑で追われる身となった。

1960年に西ドイツ政府から逮捕状が発行されたが、アルゼンチンの政情不安により、ロシュマンは引き渡されずに逃結果的に難を逃れた。

最期と死

1977年、ロシュマンはアルゼンチン警察に逮捕されるも、4日後に国外退去を条件に釈放された。その後、西ドイツ政府からの引き渡し要求を受け、彼はパラグアイへの逃亡を試みた。しかし、アスンシオン行きの船上で心臓発作を起こし、1977年8月10日に69歳で命を落とした。彼の生涯は、多くの無辜の命を奪った歴史の中で、その影響を色濃く残している。

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