エドゥアルド・フレイ・モンタルバ

エドゥアルド・フレイ・モンタルバ（Eduardo Frei Montalva）は、1911年1月16日にサンティアゴ・デ・チレで生まれ、1982年1月12日にその生涯を閉じました。彼はチリの政治史において重要な役割を果たした人物であり、第28代チリ大統領として知られています。ドイツ系スイス人の血を引くフレイは、弁護士としてのキャリアをスタートさせましたが、後に政治の世界へと足を踏み入れました。

1938年、フレイは保守党（Partido Conservador）で政治活動を開始しました。その後、1949年にはチリ上院議員に選出され、政治家としての地位を確立します。1957年には、キリスト教民主党（Partido Demócrata Cristiano de Chile）の結成に尽力しました。1958年の大統領選挙では、保守党のホルヘ・アレッサンドリと社会党のサルバドール・アジェンデに及ばず3位に終わりましたが、その政治的な存在感を示しました。

1964年の大統領選挙では、サルバドール・アジェンデとの激しい選挙戦を制し、11月3日にチリ大統領に就任しました。フレイは大統領として、「自由の中の革命」を掲げ、チリの経済と社会の変革を目指しました。その政策の柱となったのは、外国資本が支配していた鉱山の準国有化（株式の51％取得）と、穏健な農地改革でした。また、住宅建設を推進し、資本家だけでなく一般大衆の利益を優先する政策を実施しました。

1970年11月3日、フレイは大統領の任期を終え、後任には選挙で勝利したサルバドール・アジェンデが就任しました。アジェンデ政権に対して、フレイは批判的な立場を貫きました。1973年3月にはチリ上院議長に選出されましたが、同年9月11日に発生したチリ・クーデターでは、当初「支持」の立場をとったとされています。しかし、その後はアウグスト・ピノチェト軍事政権に対して反対の姿勢を強め、元大統領としての立場から、独裁体制を終わらせるための勢力の中心として期待されるようになりました。

1982年1月12日、フレイは入院先の病院で亡くなりました。当初は腹膜炎が死因とされていましたが、その後の調査で毒殺の疑いが浮上し、大きな波紋を呼びました。遺族や民主勢力による長年の調査の結果、2009年12月7日には、軍関係者を含む6人が逮捕されました。2014年1月には、この6人のうち4人が、ピノチェト政権下で複数の囚人を毒殺した疑いで再逮捕されました。2019年1月30日、裁判所は6人全員に禁錮3年から10年の有罪判決を言い渡しました。この裁判は、フレイの死の真相を追求する上で重要な節目となりました。

フレイの息子であるエドゥアルド・フレイ・ルイスタグレ（Eduardo Frei Ruiz-Tagle）もまた、1994年5月から2000年5月まで第32代チリ大統領を務めました。これは、チリの政治史において、親子で大統領を務めたという稀有な例として知られています。

エドゥアルド・フレイ・モンタルバは、チリの政治と社会に深い足跡を残した人物であり、彼の人生と業績は、今日においてもなお、多くの人々に語り継がれています。

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