エドガー・アシリング

エドガー・アシリングの生涯

エドガー・アシリング（Edgar Ætheling）は、1066年に賢人会議によってイングランド王として認められた最後のウェセックス王族です。しかし、彼は生涯にわたって公式に戴冠されることはありませんでした。彼の家族背景や後の生涯は、波乱に満ちたものでした。

家族と幼少期

エドガーはおおよそ1052年頃にハンガリー王国で生まれました。彼の父親はエドワード・アシリングで、祖先にはエドマンド剛勇王やエゼルレッド2世など、イングランドで王位を握っていた歴代の王が名を連ねています。父親がデーンのクヌート大王によって追放された後、エドガーはハンガリーで誕生しました。母親のアガサについては多くの謎がありますが、彼女もまた高貴な血筋を持つ女性であったとされています。

エドガーはエドワードの唯一の息子でしたが、妹が二人いました。1057年にエドワード懺悔王が死去した際、エドガーはハンガリーからイングランドに帰還し、父親の病死によりウェセックス家の男系後継者となったのです。

王位をめぐる苦闘

1066年にエドワード懺悔王が崩御したとき、わずか10代前半のエドガーは王位継承者として浮上しました。しかし若さゆえに、彼は信任を受けるには経験不足と言われ、王位を得ることが困難でした。エドワードが生存中に後継者を定めなかったため、彼の死後、さらに多くの勢力が王位を狙う事態が生じました。

エドガーは有力な後援者を持たなかったため、賢人会議は彼ではなくハロルド・ゴドウィンソンを王に選出しました。この選出は、敵対勢力が台頭していた当時の情勢の中で、彼にとって不利に働きました。ヘイスティングズの戦いでは、ハロルド王が戦死し、その後、アングロサクソン貴族たちは再びエドガーを王にしようと考えましたが、状況はさらに厳しくなります。結局、エドガーはウィリアム征服王の臣下としての道を選びました。

亡命と反乱

ウィリアム王の治世下、エドガーは不満を抱えつつ、1068年にスコットランド王マルカム3世のもとへ亡命します。彼の姉マーガレットと結婚しているマルカム王は、エドガーの王位奪還を支援すると約束しました。しかし北部での反乱が成功しなかったため、エドガーは再びマルカムのもとに戻りました。

彼は亡命生活を続けながらも、ウィリアムに反発し続けました。数回にわたり反乱を試みましたが、その都度失敗し、マルカム王との関係も一時的なものでした。スコットランドからの追放を余儀なくされ、最終的にはフランドルでの日々を送ることになります。

その後の活動

エドガーは1074年にスコットランドへ戻ると、フランス王フィリップ1世の支援を受ける意向を持ちます。しかしウィリアム王との和解後、彼はイングランドに戻り、ウィリアム2世の治世で再面とすることになりました。それでもなお彼は戻ることを決意し、1086年には南イタリアに向かい冒険の旅に出ました。

しかしこの成果は上手くいかず、またイングランドに戻るとのアプローチを見せます。1091年、スコットランド王マルカムとの交渉が再燃し、エドガーはその代理として交渉に臨むが、その後の経過も波紋を呼びます。

第1回十字軍への参加

エドガーは、その合法的な王位請求者として第1回十字軍に参加したという記録があります。彼は艦隊の指揮官として行動しましたが、一部の歴史家はその記述に疑問を投げかけています。

最晩年

エドガーは多くの騒乱を経て、最終的には穏やかな暮らしを選びます。彼は晩年を静かな生活の中で送り、最終的には1125年ごろまで生存したとされています。彼の没年やその後の活躍については詳細が不明ですが、1291年に語られる彼の家族についての記録も残されています。

エドガー・アシリングは波乱に満ちた人生を通じて、イングランド王国の歴史の一端を担った重要な存在となりました。

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