エドマンド・バーク

エドマンド・バークの生涯と思想

エドマンド・バーク（1729年1月12日 - 1797年7月9日）は、アイルランド王国出身のイギリスの政治思想家であり、政治家、哲学者でもあります。彼は「保守思想の父」と称され、特に1790年に出版された『フランス革命の省察』によってその名を馳せました。バークは1765年から1794年にかけてイギリス下院議員を務め、政治の舞台で数々の重要な議論に携わることになります。

幼少期と青年期

バークはダブリンで法律家の次男として生まれました。父は国教徒、母はカトリックであり、彼自身も国教の洗礼を受けました。1544年にはトリニティ・カレッジに入学し、1748年には文学士の学位を得ます。この時期に美学に強い興味を持ち、1756年には著作『自然社会の擁護』を発表しました。この作品は、国家の本質について自由主義的な視点を表現していました。

青年期には、匿名で発表された『崇高と美の観念の起源』が特に評価され、バークは文壇に登場します。1757年に結婚し、同年、政治家ウィリアム・ジェラード・ハミルトンの秘書としてのキャリアをスタートさせます。この職を通じてさまざまな政界の人々との関わりを持つことになります。

政治家としての活動

1765年、ホイッグ党の一員として英国下院議員に選出されると、彼は特に国王の権限制限や議会の王権からの独立性を主張するなど、政治活動に注力します。また、アメリカ植民地政策においては、税制改革の必要性や植民地住民との和解を訴えました。さらに、インド統治の腐敗を正すために起草されたインド法案の背後にも彼の思索がありました。

1770年代には、アメリカ独立戦争を支持する一方で、フランス革命反対の立場を取るようになります。1790年には『フランス革命の省察』を発表し、そこでは革命によってもたらされる恐怖と無秩序を厳しく批判しました。

フランス革命に対する批判

バークはフランス革命の急進的な変革に対し強い反発を示し、伝統的な社会構造の重要性を説きました。彼は革命によって得られた自由が実は不安定であり、人民が自由を維持するためには歴史的な慣習や制度が必要であると考えました。彼は「古き良き制度」を重視し、急激な変化に対してはその危険性を警告しました。これにより、彼はホイッグ党内の保守派の代表的な思想家としての地位を確立していきます。

晩年と影響

1794年に議会から引退し、ビコンズフィールドに居住することになりますが、同年には溺愛する息子を亡くします。1797年、バークはバースで病死し、家族と共に静かに埋葬されました。

彼の思想は、アメリカやフランスをはじめとするさまざまな国に影響を与え、特にアメリカでは保守主義の重要な源泉として評価されました。また、日本においても明治時代に彼の著作が紹介され、さまざまな思想家に影響を与えています。

バークの哲学は、伝統や慣習を重視するあまり、平等や民主主義に否定的な立場を取ることから批判も受けました。しかし、彼の思想は今なお保守的政治思想の基盤となっており、その影響力は決して失われることはないでしょう。

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