エドモンド・サフラ

エドモンド・サフラ：国際金融の巨頭

エドモンド・サフラ（Edmond J. Safra）は、1932年8月6日に誕生し、1999年12月3日にその生涯を閉じたシリアのユダヤ人銀行家です。彼はサンフォード・ワイルと密接に協力し、シティグループの発展に寄与しました。サフラが設立したリパブリック銀行は、1999年にHSBCに買収され、その歴史に新たな一幕が加わることとなります。

サフラ家の起源と成長

サフラ一族はオスマン帝国時代に地金取引を行なっており、帝国の崩壊後にベイルートに移住しました。第二次世界大戦後、エドモンドはミラノで成功を収め、1955年にはブラジルにサフラ銀行を創設。50以上の支店を展開し、翌年に貿易開発銀行を設立しました。この銀行は、モンテカルロからマイアミまでのプライベートバンキングを行うことで名を馳せました。

リパブリック銀行の設立

1966年にはユーロダラー市場の変動を受けてリパブリック銀行を設立し、彼の金融帝国をさらに拡大。1980年代にはアメリカン・エキスプレス（アメックス）でマーチャント・バンキングを担当し、社長のワイルと共にリーマン・ブラザーズを買収しました。これにより、彼は金融界での地位を確立しました。さらに1983年にはアメックスが貿易開発銀行を買収し、大きな利益を上げることになります。このように、サフラは国際金融の重鎮として歩み続け、ニューヨーク、イスラエル、ルクセンブルク、ブラジルなどに関連銀行を持つ金融帝国を築き上げました。

スキャンダルと晩年

しかし、サフラが関与する国際金融組織で麻薬密売益の資金洗浄が行われているという疑惑が持ち上がりました。このスキャンダルは証拠が得られなかったものの、国際的な疑念の目が向けられるようになりました。特に2012年にはHSBCの資金洗浄事件が報じられ、金融界に大きな影響を及ぼしました。

晩年には、リパブリック銀行がニューヨークで124億ドルの預金を超える大銀行に成長し、サフラ自身も相当な株式を保有していました。しかし、1998年にはロシア財政危機で巨額な損失を被り、その後の捜査ではロシアの犯罪組織との関連が疑われることとなります。アメリカ司法省がこの銀行を捜査する中、サフラは深刻な状況に直面しました。

プリンストン債事件と最期

1999年5月にHSBCがリパブリック銀行の買収を発表した後、9月にはプリンストン債事件が明るみに出ました。これはリパブリック銀行が発行したドル建て債券の担保がほとんどないことが発覚し、多くの投資家が大きな損失を被る事態となりました。

12月3日、エドモンド・サフラはモナコの自室で放火により命を奪われました。その死は国際金融界に衝撃を与え、彼の華やかな成功と同時に影を落とした出来事として記憶されています。サフラの人生は、金融界での栄光と疑惑が交錯する波乱のものでした。

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