エドモン・ロスタン

エドモン・ロスタン：詩情あふれる韻文劇作家とその生涯

エドモン・ロスタンは、1868年、フランスのマルセイユで裕福な商人の家庭に生まれました。普仏戦争とパリ・コミューンという激動の時代を、家族と共にピレネー山中の避暑地で過ごした彼は、その後パリで学び、弁護士や外交官への道を模索する中で、文学の世界へと足を踏み入れます。シャルル・ルコント・ド・リールやジュール・ルナールといった著名な文人たちとの交流は、彼の創作活動に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

1888年、初舞台となる戯曲『赤い手袋』を発表しますが、残念ながら不評に終わります。その後、詩集『手すさび』を自費出版するなど、地道な活動を続けました。1890年には、詩人のロズモンド・ジェラールと結婚。二人の間には、後に作家となるモーリスと、生物学者として活躍するジャンという二人の息子が誕生します。ジャンは、父と同じくアカデミー・フランセーズ会員に選ばれるという栄誉に輝き、画家藤田嗣治による肖像画も残されています。

1894年、ロスタンは韻文喜劇『ロマネスク』を発表し、その叙情的な作風で高い評価を獲得します。続く『遠い国の姫君』はサラ・ベルナール主演で上演されましたが、成功とはなりませんでした。しかし、1897年に彼女のために書き下ろした『サマリアの女』は好評を博し、ロスタンの才能を広く知らしめることとなります。

そして、ロスタンの名声を決定づけたのが、1897年12月28日に初演された『シラノ・ド・ベルジュラック』です。この五幕の韻文劇は、大きな鼻をコンプレックスに持つ天才的な詩人貴族シラノの愛と生き様を描いた作品で、俳優コンスタン・コクランを主演に迎え、ポルト・サン＝マルタン座で500日間、400回以上ものロングラン公演を記録しました。パリのみならず、世界各国で繰り返し上演される不朽の名作として、現在も高い人気を誇っています。

『シラノ・ド・ベルジュラック』の大成功以降も、ロスタンは精力的に創作活動を続けました。1900年の『鷲の子』や、1910年の『東天紅』も発表しましたが、いずれも『シラノ・ド・ベルジュラック』ほどの成功は収めませんでした。『東天紅』に関しては、時代を先取りしすぎた作品だったという見方もあります。

1901年には、アカデミー・フランセーズ会員に選出され、その高い文学的評価を確固たるものとしました。しかし、私生活では1915年に妻ロズモンドと離婚しています。1918年、スペイン風邪により50歳という若さで亡くなりました。

ロスタンの作品は、韻文劇を中心に、詩情豊かな言葉と巧みな構成で知られています。『シラノ・ド・ベルジュラック』は、今もなお多くの人に感動を与え続けるだけでなく、世界各国の舞台で上演され続け、その魅力は衰えることを知りません。彼の作品は、時代を超えて人々の心を捉え、文学史に燦然と輝く功績を残したと言えるでしょう。彼の作品は、現在でも翻訳され、世界中で読み継がれています。彼の代表作である『シラノ・ド・ベルジュラック』は、様々な言語に翻訳され、世界中で愛されています。

ロスタンは、単なる劇作家としてだけではなく、詩人、そして時代の寵児として、その名を歴史に刻みました。彼の作品は、今もなお多くの人々に愛され、読み継がれ、上演され続けています。

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