エドワード・シーモア (初代サマセット公)

初代サマセット公エドワード・シーモア：栄光と失脚の生涯

初代サマセット公エドワード・シーモア（1506年頃 - 1552年）は、テューダー朝イングランドにおいて、その妹ジェーン・シーモアがヘンリー8世の王妃となったことで急速に台頭し、エドワード6世の摂政として権力を掌握した人物です。しかし、その支配は長くは続かず、政敵との権力闘争に敗れ、最終的には大逆罪で処刑されるという波乱の生涯を送りました。

生い立ちと出世

エドワード・シーモアは、ウィルトシャーのジェントリであるサー・ジョン・シーモアの息子として生まれました。妹ジェーンがヘンリー8世に見初められ、1536年に王妃となると、シーモア家の運命は大きく変わります。翌年には王の唯一の男子であるエドワード（後のエドワード6世）を産んだことで、エドワードはビーチャム子爵、ハートフォード伯爵と立て続けに叙爵され、宮廷での地位を確立していきました。

エドワード6世の摂政として

1547年にヘンリー8世が崩御し、幼いエドワード6世が即位すると、エドワード・シーモアは摂政・護国卿に就任し、サマセット公に叙せられます。これにより、イングランドの実質的な統治者となりました。

外交と宗教政策

サマセット公は、外交においてはスコットランド女王メアリーとエドワード6世の結婚を画策しましたが、スコットランドの拒否により失敗。軍事侵攻を行うも、事態は好転しませんでした。宗教政策においては、プロテスタントの復興を目指し、親カトリック的な聖職者を投獄するなど、改革を推し進めました。1549年には、礼拝統一法を制定し、共通祈祷書をイングランド唯一の礼拝様式と定めましたが、カトリックの反発を招き、各地で反乱が発生しました。

失脚と処刑

サマセット公の政策は、貴族やジェントリの反発を招き、弟のトマス・シーモアが反逆罪で処刑されるなど、内政は混乱。ウォリック伯ジョン・ダドリーとの権力闘争に敗れ、1549年に逮捕、投獄されます。一時釈放されるも、再び逮捕され、大逆罪で有罪となり、1552年に処刑されました。

死後の名誉回復

サマセット公の爵位は剥奪されましたが、息子エドワード・シーモアは後にハートフォード伯爵に叙され、その孫ウィリアムはサマセット公位の復権を許されました。これにより、シーモア家は再びイングランド貴族社会において重要な地位を占めることとなりました。

エドワード・シーモアの生涯は、テューダー朝イングランドの政治的駆け引き、宗教対立、そして権力闘争の縮図とも言えるでしょう。妹の王妃を背景に権力を掌握し、改革を推し進めようとしましたが、その強引な手法が反発を招き、最終的には失脚、処刑されるという悲劇的な結末を迎えました。しかし、彼の子孫は名誉を回復し、シーモア家はその後もイングランド史に名を残すこととなるのです。

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