エドワード・セント・オービン

エドワード・セント・オービンのプロフィール

エドワード・セント・オービン（Edward St Aubyn）は、1960年1月14日にイングランドで生まれた著述家及びジャーナリストです。彼の著名な作品である『パトリック・メルローズ』シリーズは、自己の経験を基に構築された半自叙伝的小説として多くの支持を集めています。特に2006年にはシリーズの第4作『マザーズ・ミルク』がマン・ブッカー賞にノミネートされ、その影響力は社会でも広く認知されています。

家族背景と私生活

セント・オービンは、ロンドンの上流階級の家庭に生まれ、父は外科医で元軍人のロジャー・ジェフリー・セント・オービン、母はローナ・マッキントッシュです。彼はセント・オービン準男爵家のエドワード・セント・オービン初代準男爵の玄孫にあたりますが、家庭環境は必ずしも平穏とは言えませんでした。

彼の幼少期は、父による虐待を経験することとなり、これが後の創作活動に大きな影響を与えることになります。ウェストミンスター・スクールを経て、オックスフォード大学で英文学を学ぶ中で、ヘロイン中毒に苦しむようになりました。25歳の時に心理療法に出会い、その後作家としての道を歩み出しました。

彼は1987年から1990年の間、作家のニコラ・シュルマンと結婚し、二人の子どもをもうけました。現在はロンドンに住んでいます。

『パトリック・メルローズ』シリーズ

セント・オービンの代表作である『パトリック・メルローズ』シリーズは、全5巻から成り立っています。各巻は、彼自身の経験を元に、上流階級の家庭での生活や、そこからの回復について深く掘り下げています。特に、両親の死や自身の依存症との闘い、また結婚生活や子育てに対する考察が描かれており、彼の作品は逆境の中での人間の心理的健康についての力強い探求がなされています。

最終作の『アット・ラスト』の刊行にあたり、前4作は2012年に再発行されました。また、シリーズの第4作『マザーズ・ミルク』は2012年に映画化され、セント・オービン自身が脚本を執筆しました。

2018年には米国のショウタイムとスカイ・アトランティックが共同制作した全5話のミニシリーズとして映像化され、主演にはベネディクト・カンバーバッチが起用されています。この作品は、放送当初から好評を博し、BAFTAテレビ賞でも最優秀ミニシリーズ賞などを受賞しました。

受賞歴と著作

セント・オービンは多くの賞を受賞しています。1992年に『ネヴァー・マインド』でベティ・トラスク賞を受賞し、2006年には『マザーズ・ミルク』でマン・ブッカー賞の最終候補となりました。その他にもフェミナ賞外国小説賞を受賞するなど、彼の作品は国際的にも評価されています。

著作リスト

• - Never Mind (1992)

日本語訳：国弘喜美代・手嶋由美子訳『ネヴァー・マインド』 2018年

• - Bad News (1992)

日本語訳：国弘喜美代・手嶋由美子訳『バッド・ニュース』 2018年

• - Some Hope (1994)

日本語訳：国弘喜美代・手嶋由美子訳『サム・ホープ』 2018年

• - Mother's Milk (2005)

日本語訳：国弘喜美代・手嶋由美子訳『マザーズ・ミルク』 2019年

• - At Last (2012)

日本語訳：国弘喜美代・手嶋由美子訳『アット・ラスト』 2019年

エドワード・セント・オービンの作品は、彼自身の苦悩やサバイバルに基づく深い洞察とともに、読み手に多くの感動を与えることでしょう。

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