エドワード・ヨードン

エドワード・ヨードン（Edward Nash Yourdon, 1944年4月30日 - 2016年1月20日）は、アメリカ合衆国出身のコンピュータ・コンサルタント、作家、講師であり、ソフトウェア開発における構造化プログラミングのパイオニアとして知られています。彼は、コンピュータ関連コンサルティング会社であるNODRUOY Inc.のCEOも務め、その幅広い知識と経験を活かして業界に貢献しました。

マサチューセッツ工科大学を卒業後、1965年に理学士号を取得。その後、技術記事を550以上執筆し、27冊もの著書を出版しました。1970年代には、構造化システム分析及び設計手法（SSADM）の分野における先駆者として活躍し、プロジェクト管理、ソフトウェア工学、Web 2.0開発の専門家として国際的に認知されました。

1970年代に構造化分析・設計手法を提唱しただけでなく、1980年代後半から1990年代にかけては、オブジェクト指向分析・設計手法のヨードン・ホワイトヘッド手法や、コード・ヨードンオブジェクト指向メソッドの共同開発者としてもその名を馳せました。彼の業績は、ソフトウェア開発におけるパラダイムシフトを促す重要な役割を果たしました。

また、雑誌「American Programmer magazine」（現在の「Cutter IT Journal」）の主宰者としても知られ、著書『ソフトウェア管理の落とし穴』（原題: "Decline and Fall of the American Programmer"）はベストセラーとなりました。この著書は、ソフトウェア開発における問題点を鋭く指摘し、業界に大きな影響を与えました。

さらに、ヨードンは、コンピュータ業界における「デスマーチ」という概念を著書で定義した人物としても知られています。これは、過酷な労働条件や非現実的なスケジュールで進行するソフトウェア開発プロジェクトを指す言葉として、広く認識されています。

1997年6月には、チャールズ・バベッジ、シーモア・クレイ、ジェームズ・マーティン、グレース・ホッパー、ジェラルド・ワインバーグ、ビル・ゲイツといった、コンピュータ業界の偉人たちとともに、コンピュータ殿堂入りを果たしました。

1999年12月には、「The Journal of Defense Software Engineering」の対談記事で、ソフトウェア分野における著名な功績のある10人のうちの1人に選出され、その業績が改めて評価されました。

1990年代後半には、2000年問題（Y2K問題）が文明の破綻や広範囲な経済的・技術的混乱を引き起こすと主張した主要な論客の一人でした。彼は、この問題に関する啓蒙活動として、複数の著書やビデオを制作し、来るべき危機への対策を促しました。彼の著書『Time Bomb 2000』(Prentice Hall PTR)はベストセラーとなり、多くの人々に影響を与えました。

主な著書として、日本語訳されたものには『デスマーチ―なぜソフトウエア・プロジェクトは混乱するのか』、『デスマーチ第2版ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか』、『ソフトウェア管理の落とし穴』、『プログラマーの復権』などがあります。また、オブジェクト指向に関する著書も多数あり、その分野における深い知識と理解を示しています。

エドワード・ヨードンの遺産は、ソフトウェア開発の分野において、今もなお多大な影響を与え続けています。彼の先駆的な業績と洞察は、現代のソフトウェア開発においても重要な教訓として受け継がれています。

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