エヒタナハ

ルクセンブルク最古の町、エヒタナハ

エヒタナハ（Echternach）は、ルクセンブルク東部に位置する市資格を持つコミューンであり、ドイツとの国境に面しています。ルクセンブルク語ではIechternachと表記されます。この町は、ルクセンブルク最古の町として知られ、豊かな歴史と文化が息づいています。

歴史

エヒタナハには、先史時代から人々が居住していた痕跡が見られます。ローマ帝国時代には、邸宅や集落を囲む防備施設、墓地などが存在し、この地が重要な拠点であったことを示しています。

エヒタナハの発展は、聖ウィリボード（Willibrord）によって698年に創建されたエヒタナハ修道院に深く関係しています。聖ウィリボードは、ノーサンブリア王国出身の修道士であり、後に初代ユトレヒト司教となり、フリジア人のキリスト教化に尽力しました。彼は、亡くなる739年まで修道院を導き、その後、この地は巡礼地として発展しました。現在でも、毎年ペンテコステの3日目には、聖ウィリボードにちなんだ舞踊付きの礼拝行進が行われています。

かつて町の中を流れていたシュール川は、現在ルクセンブルクとドイツの国境となっています。ローマ帝国末期からメロヴィング朝期にかけては、この地域全体が辺境領ではありませんでした。60年から70年頃には、広壮な邸宅（Palastvilla; Herrenhaus）が建設され、その遺構は1975年から1976年の発掘調査によって確認されています。この邸宅は4世紀にかけて拡張を続け、最盛期には124メートル×72メートルの広さとなり、地階には約70の部屋がありました。

697年から698年にかけて、フランク王ダゴベルト2世の娘であり、トリーアのエーレン修道院長であったイルミナ（Irmina）は、自身が部分的に所有する屋敷（villa Epternacus）と教会施設をウィリボードに贈りました。706年には、ウィリボードは屋敷の残りの部分をイルミナの娘プレクトルードとピピン3世（小ピピン）から寄贈され、修道院施設を建設しました。

修道院は849年から856年まで伯アダルハルドゥスの所有となり、修道士を聖堂参事会員に代えましたが、864年には伯ラギナールが、873年にはカール大帝の子カルルマンが所有しました。修道院に修道士が再び住むようになったのは、それから1世紀後の973年です。1017年には、ウィリボード時代の建物が焼け落ちましたが、左右対称の塔を備えたロマネスク様式のバシリカは、今もウィリボードの墓のある納骨堂を備えています。修道院の図書館と写字室（Echternacher Skriptorium）は、8世紀と11世紀に最盛期を迎え、優れた美術品を所有制作していました。

エヒタナハの町は、修道院の外壁周囲で形作られました。町が都市特権を得たのは1236年のことです。1737年には、修道院は端正なバロック様式で再建されました。しかし、1797年には修道士たちが追放され、修道院の有名な図書館とその所蔵品は競売にかけられました。図書館が所有していた初期の写本の一部は、パリのフランス国立図書館に所蔵されています。修道院内には磁器工房がつくられていましたが、鉄道が開通し観光客が訪れるまで、町は衰退していました。1815年にルクセンブルクに帰属しました。

史跡

エヒタナハには、修道院付属のバシリカと教区教会である聖ペテロ聖パウロ教会の2つの教会があります。バシリカは、町の歴史地区にある18世紀の修道院（現在は学校が入っている）に囲まれています。

第二次世界大戦で大きな被害を受けたエヒテナハは、完全に修復されました。絵のように美しい町は、今も中世の壁と塔で囲まれています。1975年からは、5月と6月に国際音楽祭が開かれ、多くの人々が訪れます。

外部リンク

Startsäit | Ville d'Echternach（フランス語）

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