エビータ (映画)

映画『エビータ』の概要

1996年に公開された映画『エビータ』（Evita）は、名作ミュージカルを元にしたアメリカ映画で、アルゼンチンのファーストレディであるエバ・ペロンの波乱に満ちた人生を描いています。本作はアンドリュー・ロイド＝ウェバーが制作した同名のミュージカルを基にしており、公開当初から多くの注目を集めました。

受賞歴

映画はアカデミー賞において5部門にノミネートされ、その中で「ユー・マスト・ラヴ・ミー」（You Must Love Me）がアカデミー歌曲賞を受賞しました。また、1997年のゴールデングローブ賞では、作品賞、主演女優賞、主題歌賞を獲得し、評価を高めました。

制作背景

当初、この映画の監督にはオリバー・ストーンが予定されていましたが、様々な事情を経て最終的にはアラン・パーカーが監督として関わりました。この二人は、映画『ミッドナイト・エクスプレス』でのコラボレーション以来の再会となります。

映画の撮影はアルゼンチンの官邸で行われ、エバが演説を行った実際のバルコニーでのシーンも盛り込まれました。しかし、映画の制作に際して、エバ・ペロンを描いた内容について、アメリカのセックスシンボルであるマドンナが主演を務めることに反発を示した地域住民が、ロケ反対のデモを起こす場面もありました。

物語の始まり

映画はエバ・ペロンの死を知らせる場面から始まり、民衆が彼女の死を悼む様子が描かれます。彼女の幼少期のエピソードと共に、彼女が幼い頃に父の葬儀にさえ出席できなかったことが重ねられます。この演出はミュージカル版とは異なり、独自の視点で描かれています。

エバの若き日々

次に、15歳のエバが登場し、旅公演のタンゴ歌手アグスティン・マガルディに夢中になり、女優としての道を目指すためブエノスアイレスへと向かう姿が描かれます。しかし、彼女は成功に恵まれず、さまざまな困難に見舞われます。

やがて、カメラマンとの出会いを経て次々と影響力のある男性たちと関係を持ちながら、エバは徐々に名声を手に入れていきます。その過程で、ホアン・ペロンとの出会いが大きなターニングポイントとなります。

権力との関係

ホアン・ペロンとの関係が深まる中で、エバは彼の愛人としてだけでなく、共に政界での権力を目指す協力者としての役割を担うようになります。1945年のクーデターによりペロンが拘束される際、エバはラジオ演説で国民に支持を訴え、結果的に彼の解放運動を行います。

ペロンが解放された後、2人は結婚し、エバは若干26歳にしてファーストレディとして名を知られることになります。彼女の代表的な歌「アルゼンチンよ泣かないで」（Don't Cry for Me Argentina）は、映画のクライマックスとして感動的に描かれています。

エバの晩年

華やかな生活を送るエバでしたが、彼女は病と闘うことになります。権力と富を持ちながらも、根本的な社会問題には手を打てず、流行するファッションや外遊などによってアルゼンチンのイメージを上げようとしますが、民衆の不満は根強いものでした。

その後、エバは病に屈し、民衆とペロンに愛を求めながら命を落とすことになります。彼女の人生は激しく、悲劇的であり、多くの論議を巻き起こしました。

映画に対する評価

『エビータ』はエバ・ペロンの聖と俗を描き、制作されたミュージカル版に対する批判もありましたが、その複雑なキャラクターと歴史的背景は多くの視点を与えています。マドンナは、エバの多面性に対する質問に対し、「あれだけの人物が、聖か俗か、どちらかの面しか持っていなかったはずはないわ」と語った上で、その深みを強調しました。

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