エファ・マンリー

エファ・マンリー（Effa L. Manley, 1897年3月27日 - 1981年4月16日）は、1930年代から1940年代にかけてアメリカ合衆国のニグロリーグで活躍した球団経営者です。1897年にペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれ、夫エイブ・マンリーと共にニューアーク・イーグルスの共同経営者として、数多くの才能ある選手を輩出しました。彼女の功績は高く評価され、2006年には女性として初めてアメリカ野球殿堂入りを果たしました。

生い立ちとニグロリーグとの出会い

エファ・マンリーは白人の父と母の間に生まれましたが、兄弟の父親は黒人でした。フィラデルフィアの黒人居住区で育ち、成人後はニューヨークで働いていましたが、当時住んでいたのは黒人が多く住むハーレム地区でした。1930年代、ニューヨーク・ヤンキースのワールドシリーズ観戦中に、野球賭博師であった夫となるエイブ・マンリーと出会います。エイブはエファより20歳年上でしたが、ニグロリーグ球団経営の夢を持っていました。1935年に二人は結婚し、エイブはニューヨークにあったブルックリン・イーグルスのオーナーとなります。翌年、チームはニューアークに移転し、ニューアーク・イーグルスとなりました。エイブは各地を飛び回り、有能な選手の発掘に尽力しましたが、球団経営の実権は妻のエファが握っていたと言われています。

球団経営者としての手腕と公民権運動への貢献

当初、エファは気に入った若い選手と関係を持ち、その選手を起用するために口出しすることもあったようです。特に、エファが気に入っていた投手テリス・マクダフィーは、エファとの関係が原因でニューヨーク・ブラック・ヤンキースにトレードに出されてしまったという逸話も残っています。しかし、エファは選手たちが実力を発揮できる環境づくりにも尽力しました。試合日程や宿泊施設の調整、移動の際には当時としては贅沢であったエアコン付きのバスを手配するなど、様々な面でチームを支えました。

また、エファは1930年代から黒人公民権運動にも積極的に参加しました。全米有色人種地位向上協会（NAACP）のニューアーク支部に所属し、その活動を支援するために、イーグルスの試合を利用することもあったそうです。

ニグロ・ワールド・シリーズ制覇と激動の時代

ニューアーク・イーグルスは、1946年にカンザスシティ・モナークスとのニグロ・ワールド・シリーズを制覇します。当時のイーグルスには、後にメジャーリーグで活躍するラリー・ドビー、ドン・ニューカム、モンテ・アーヴィン、レイ・ダンドリッジなど、多くのスター選手が在籍していました。しかし、同年、夫エイブ・マンリーが他界。メジャーリーグでは黒人選手のマイナーリーグへの受け入れが始まり、エファにとって1946年は激動の年となりました。

エファは選手たちのメジャーリーグへの移籍に際し、選手の待遇が不当に下がらないよう、ドジャーズのブランチ・リッキーやインディアンスのビル・ベックらと交渉しました。ニグロリーグの主力選手の中には、メジャーリーグのオファー以上の待遇を受けていた選手も少なくなかったため、彼女は選手たちの権利を守るために尽力しました。

その後

マンリーは1948年にイーグルスの経営から身を引き、1981年にロサンゼルスで亡くなりました。2006年には、ニグロリーグ特別委員会によってアメリカ野球殿堂入りを果たし、その功績が永く称えられています。

エファ・マンリーは、ニグロリーグの発展に貢献しただけでなく、黒人公民権運動にも積極的に参加した、社会活動家としても尊敬される人物です。

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