エフゲニー・スヴェトラーノフ

エフゲニー・フョードロヴィチ・スヴェトラーノフ（1928年9月6日 - 2002年5月3日）は、ロシアを代表する指揮者、作曲家、ピアニストです。

生涯

モスクワに生まれたスヴェトラーノフは、幼少期から音楽の才能を発揮し、グネーシン記念音楽学校でピアノを学びました。その後、モスクワ音楽院に進み、アレクサンドル・ガウクに指揮を、ユーリ・シャポーリンに作曲を師事しました。1954年、音楽院在学中からモスクワ放送交響楽団の指揮者として活動を開始し、1955年からはボリショイ劇場の指揮者を務め、1963年から1965年には主任指揮者を歴任しました。1965年からはソ連国立交響楽団（現ロシア国立交響楽団）の首席指揮者に就任し、長年にわたり同楽団を率いて数々の名演を繰り広げました。また、1979年からはロンドン交響楽団の客演指揮者も務め、国際的な活躍の場を広げました。

2002年、73歳で逝去。

指揮者としての業績

スヴェトラーノフは、卓越した音楽性と情熱的な指揮で、聴衆を魅了しました。特に、ロシア音楽の解釈においては、他の追随を許さない独自の境地を切り開き、グリンカ以降のロシア・ソビエト連邦の交響作品の録音に情熱を注ぎました。惜しくも全ての録音を達成することはできませんでしたが、数多くのライブ録音やスタジオ録音を完成させ、ロシア音楽の普及に大きく貢献しました。彼は、ロシア人作曲家による交響作品全曲をレパートリー化した最初の指揮者としても知られています。メロディアからリリースされた「ロシアン・シンフォニック・アンソロジー」をはじめ、ロシア人作曲家のみのアルバムは100枚を超えています。

晩年は、ロシア国立交響楽団との運営を巡る関係が悪化し、フリーの指揮者としてロシア国外のオーケストラへの客演が増えました。ハーグ・レジデンティ管弦楽団、スウェーデン放送交響楽団、NHK交響楽団などに客演し、各地で高い評価を得ました。これらの客演の模様は、ラフマニノフの交響曲第2番やチャイコフスキーの三大バレエ曲集などのCDに記録されています。

作曲家としての側面

スヴェトラーノフは、作曲家としても才能を発揮しました。作風は、後期ロマン派音楽の伝統を受け継ぎ、ピアニストとして得意としたラフマニノフやメトネルの影響が色濃く反映されています。代表作としては、交響曲第1番、ピアノ協奏曲、交響詩『赤いカリーナ』、ヴァイオリンと管弦楽のための『詩曲』などが挙げられます。これらの作品は、スヴェトラーノフ自身が指揮した録音のほか、師であるガウクによる録音も現存しています。

エピソード

[小惑星] Svetlanovは、スヴェトラーノフの功績を称え、その名にちなんで命名されました。

スヴェトラーノフは、その才能と情熱によって、ロシア音楽の歴史に確かな足跡を残しました。彼の音楽は、これからも多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

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