エベン・エゼル

エベン・エゼル（ヘブライ語: אבן העזר）は、旧約聖書の『サムエル記』に登場する地名で、イスラエル人とペリシテ人の戦場として描かれています。この地は、シロから歩いて1日以内の距離にあり、アペクやミツパの近く、「ベテ・ホロンの道」の西の入り口付近にあったとされていますが、正確な位置は特定されていません。現在では、ベイト・イクサ（Beit Iksa）やデイル・アバン（Dayr Aban）がその候補地として挙げられています。

聖書の記述

エベン・エゼルという地名は、『サムエル記』の中で二つの重要な物語に登場します。

一つ目の物語（サムエル記上 4:1-11）では、イスラエル人が神の助けを求めて契約の箱を戦場であるエベン・エゼルに運び込みます。しかし、彼らはペリシテ人に敗北し、契約の箱は敵に奪われてしまいます。その後、数ヶ月を経て、契約の箱はイスラエル人に返還されました。

二つ目の物語（サムエル記上 7:2-14）では、預言者サムエルが神に犠牲を捧げた後、イスラエル人はペリシテ人に対して勝利を収めます。この勝利を記念して、サムエルは石を立て、その石をエベン・エゼル（助けの石）と名付けました。この出来事がエベン・エゼルという地名の由来となっています。また、この記念の石は、聖歌『命の泉に』の歌詞にも登場します。

現在の位置

聖書には、2回目の戦いの正確な場所は明記されていません。しかし、イスラエルの考古学者や歴史家の間では、エベン・エゼルは現在のカフル・カーシム（Kafr Qasim）の近く、古代都市アペク（アンティパトロス）の付近にあったと考えられています。また、「Isbeth Sartah」または「Izbet Zartta」と呼ばれる遺跡が、エベン・エゼルの場所であるという説もあります。

関連事項

モーセの歌: 旧約聖書に登場するモーセが歌ったとされる歌。
エベン・エゼルの塔 (fr): ベルギーにあるアウトサイダー・アートの建造物。
エベニーザー: エベン・エゼルに由来する英語圏の人名。

出典

"Ebenezer". The American Cyclopædia (英語). 1879.
“Ebenezer”. Collier's New Encyclopedia. (1921).

外部リンク

The American Cyclopædia/Ebenezer) (英語)
* Collier's New Encyclopedia (英語)

もう一度検索