契約の箱

契約の箱：失われた聖なる箱の謎

契約の箱（アーク）は、『旧約聖書』に記される、非常に重要な聖物です。別名「証の箱」「掟の箱」「聖櫃」「約櫃」とも呼ばれ、特にユダヤ教やキリスト教において、神聖な存在として扱われてきました。

契約の箱の概要

契約の箱は、神の指示を受けたモーセが、ベツァルエルという職人に命じて作らせたものです。箱はアカシアの木で作られ、純金で覆われていました。具体的なサイズは、長さが約100～130cm、幅と高さが約60～80cm程度とされています。また、箱の四隅には脚があり、地面に直接触れないように工夫されていました。

特徴的なのは、箱の両側面に2本の棒が取り付けられており、持ち運びの際に直接触れないように考慮されていた点です。これらの棒も純金で覆われ、常に箱に差し込まれた状態を保っていました。さらに、箱の上部には、純金製の2体の智天使像が置かれていました。

箱の中には、モーセの時代にはマナを納めた金の壺、聖油の壺、アロンの杖、そして十戒を記した石板が納められていました。しかし、ソロモン王の時代には、十戒の石板のみが残されていたと伝えられています。

契約の箱の歴史

契約の箱は、イスラエル民族が荒野をさまよっていた時代には、レビ族の祭司たちが担いで移動していました。その後、ヨシュアの時代以降は、シロの幕屋の至聖所に安置されるようになりました。紀元前11世紀には、ペリシテ人によって一時的に奪われますが、ペリシテ人に災厄が襲ったため、イスラエル人に返還されました。

ソロモン王の時代には、エルサレム神殿の至聖所に安置され、王国の象徴として重要な役割を果たしました。しかし、ソロモン王の死後、イスラエル王国は分裂し、北イスラエル王国と南ユダ王国に分かれます。その後、紀元前586年にバビロン捕囚によって、エルサレム神殿が破壊された際に、契約の箱の行方は完全に不明となってしまいました。

契約の箱の運搬を担ったレビ族

レビ族は、ヤコブの子レビを祖とするイスラエルの部族です。祭司として特別な役割を担い、土地を持たなかったため、イスラエルの十二支族には数えられません。レビ族は、祭司の奉仕の報酬として、奉納物の十分の一を与えられていました。彼らは、契約の箱を運ぶ重要な役割を担い、箱を運ぶ際には、鐘や太鼓を鳴らしながら騒ぎ立てていました。

失われた聖櫃

契約の箱は、ヨシヤ王の時代を最後に、聖書の中で比喩的に用いられる以外に直接言及されなくなります。その失われた経緯は不明であり、そのため「失われた聖櫃(The Lost Ark)」とも呼ばれています。

現在では、エチオピア正教会などが、契約の箱を保持していると主張していますが、その真偽は定かではありません。契約の箱は、今もなお、多くの謎に包まれた存在として、人々の関心を集めています。

関連項目

* レイダース/失われたアーク《聖櫃》|レイダース_失われたアーク《聖櫃》 (インディ・ジョーンズ シリーズ|インディ・ジョーンズ_シリーズ)

契約の箱は、その神秘的な存在から、映画などのフィクション作品にも多く登場しています。特に有名なのは、映画「レイダース/失われたアーク《聖櫃》|レイダース_失われたアーク《聖櫃》」でしょう。この作品は、インディ・ジョーンズが契約の箱を求めて冒険を繰り広げる物語です。

契約の箱は、単なる古代の遺物ではなく、信仰や歴史、そして謎が複雑に絡み合った、特別な存在と言えるでしょう。

もう一度検索