エボニック (企業)

エボニック インダストリーズ：グローバル化学企業の軌跡

エボニック インダストリーズ（Evonik Industries AG）は、特殊化学品をグローバルに展開するドイツの大手企業です。本社はノルトライン＝ヴェストファーレン州エッセンにあり、世界100カ国以上に製品を供給しています。日本にはエボニック・ジャパン株式会社を設立し、活発な事業活動を行っています。フランクフルト証券取引所にも上場しており、その規模と影響力は世界的なものです。

エボニックの歩み：RAGグループからの独立と成長

エボニックの歴史は、19世紀後半に設立された複数の化学企業のルーツに遡ります。その歴史は、Chemische Fabrik Theodor Goldschmidt、Crefelder Seifenfabrik Stockhausen & Traiser、Chemische Werke Hüls GmbHといった企業の設立から始まり、2003年から2006年にかけて、RAGグループがデュッセルドルフのエボニック・デグサを買収したことで大きな転換期を迎えます。

2007年、RAGグループから化学、エネルギー、不動産部門が分離し、現在のエボニック インダストリーズが誕生しました。当初はRAG財団とCVCキャピタル・パートナーズが保有していましたが、2013年には株式の一部がフランクフルト証券取引所に上場されました。その後、エボニックはエネルギー事業を売却し、不動産事業をRAG AGに譲渡することで、事業を化学分野に特化しました。現在もRAG財団はエボニックの株式の過半数を保有しています。

多角的な事業展開：5つの事業部門

エボニックは、大きく分けて5つの事業部門から構成されています。

ニュートリション＆ケア（Nutrition & Care）： 飼料添加物や医薬品有効成分を扱います。
スペシャルティアディティブス（Specialty Additives）： コーティング材や産業用補助材、添加物を扱います。
スマートマテリアルズ（Smart Materials）： ポリマーや触媒を扱います。
パフォーマンスマテリアルズ（Performance Materials）： 高吸収性樹脂、ナトリウム、カリウムアルコキシドなどを製造します。
* テクノロジー＆インフラストラクチャ（Technology & Infrastructure）： 研究開発やインフラ整備を支える部門です。

これらの事業部門を通じて、エボニックは多様な業界に製品を提供し、世界経済に貢献しています。アメリカ合衆国とドイツが主要市場ですが、日本市場も重要な役割を果たしています。

スポーツへの貢献：ボルシア・ドルトムントとの深い関わり

エボニックは、サッカー・ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントのメインスポンサーとして知られています。2006年からスポンサー契約を結び、2014年からは筆頭株主にもなっています。このパートナーシップは、エボニックのブランドイメージ向上と地域社会への貢献に大きく寄与しています。

日本におけるエボニック：合弁企業と社会貢献

エボニック・ジャパン株式会社は、1969年にデグサの日本法人として設立されました。現在では、化学品、飼料添加物、塗料添加物、医薬品などの製造・販売を行っています。東京にオフィスを構え、川崎市と茨城県阿見町にテクノロジーセンター、神奈川県伊勢原市と阿見町に工場を所有しています。

さらに、三菱マテリアル、塩野義製薬、ダイセル、三洋化成工業といった日本の大手企業との合弁企業を設立し、日本の産業発展にも貢献しています。

2011年の東日本大震災発生後には、義援金活動や子ども化学実験教室の開催、保育所の建設支援、児童養護施設の新築支援など、被災地支援にも積極的に取り組んでいます。

エボニックの未来：持続可能な成長への取り組み

エボニックは、今後とも技術革新と持続可能な開発目標（SDGs）への取り組みを通じて、グローバルな化学業界をリードしていくことが期待されています。その活動は、企業としての成長だけでなく、社会全体への貢献にもつながっています。

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