エミリアーノ・マルティネス

ダミアン・エミリアーノ・マルティネス：アルゼンチンが生んだ世界的GKの軌跡

ダミアン・エミリアーノ・マルティネス（通称：ディブ・マルティネス）は、1992年9月2日、アルゼンチンのマル・デル・プラタで生まれました。現在は、イングランド・プレミアリーグのアストン・ヴィラに所属し、アルゼンチン代表としても活躍する、世界屈指のゴールキーパーです。

クラブでの挑戦

アーセナルでの苦労

マルティネスは、CAインデペンディエンテのユースチームで才能を磨き、2009年にアーセナルFCへ移籍。しかし、アーセナルでは出場機会に恵まれず、下位リーグへのローン移籍を繰り返す苦しい時期を過ごしました。オックスフォード・ユナイテッドFC、ヘタフェCF、レディングFCといったクラブで経験を積みましたが、アーセナルでの定位置確保は叶いませんでした。

アストン・ヴィラでの飛躍

2020年、マルティネスはアストン・ヴィラFCへ完全移籍。この移籍が彼のキャリアを大きく変えることになります。加入後すぐに正GKの座を掴み、リーグ2位のセーブ率を記録するなど、目覚ましい活躍を見せました。その活躍はクラブの記録更新にも繋がり、瞬く間にチームに不可欠な存在となりました。2022年と2024年には契約を延長し、アストン・ヴィラでのキャリアをさらに充実させています。

代表としての栄光

マルティネスは、U-17代表からアルゼンチン代表に選出され、2021年のコパ・アメリカで正GKの座を確立。準決勝のコロンビア戦ではPK戦で3本のシュートをセーブし、チームを決勝に導きました。決勝でもブラジルを破り、優勝に大きく貢献しました。

2022年のFIFAワールドカップでは、準々決勝のオランダ戦、決勝のフランス戦でPK戦での活躍を見せ、アルゼンチン代表を36年ぶりの世界一に導きました。その活躍が認められ、大会最優秀GKに贈られるゴールデングローブ賞を受賞。アルゼンチン代表の英雄として、その名を世界に轟かせました。コパ・アメリカ2024でも優勝に貢献し、改めてその実力を示しました。

エピソード

マルティネスの愛称「ディブ」は、彼がCAインデペンディエンテに所属していた頃、赤毛でソバカスがあった彼が、90年代のテレビシリーズの主人公に似ていたことが由来です。

貧しい家庭に育ったマルティネスは、父親から安いGKグローブしか買い与えてもらえませんでしたが、そのグローブを誇りに思い、努力を重ねてトップレベルにまで到達しました。アーセナルへの移籍を決意したのも、家族を支えたいという強い思いからでした。当初は言葉の壁に苦しみましたが、同じように苦労している若手選手を積極的にサポートするなど、心優しい一面も持ち合わせています。

プーマとのスポンサー契約を経て、現在はアディダスと契約し、GKグローブやスパイクなどのサポートを受けています。2017年には幼なじみのアマンダと結婚し、二児の父となりました。

2022年のFIFAワールドカップでの優勝後、一部のセレモニーでの行動が物議を醸しましたが、彼の情熱的な性格と勝利への強いこだわりを示すものとして捉えることもできます。

2024-25シーズンからは、背番号を代表チームで愛用する「23」に変更。「息子が生まれた日」であるこの番号に、特別な思いを込めています。もしサッカー選手になっていなかったら「魚屋」になりたかったと語る、親しみやすい一面も持っています。

受賞歴

マルティネスは、数々の個人タイトルとチームタイトルを獲得しています。

クラブ

FAコミュニティ・シールド（アーセナル）：2014, 2015, 2020
FAカップ（アーセナル）：2016-17, 2019-20

代表

FIFAワールドカップ（アルゼンチン代表）：2022
CONMEBOL-UEFAカップ・オブ・チャンピオンズ：2022
コパ・アメリカ：2021, 2024

個人

ザ・ベスト・FIFAフットボールアウォーズ 男子GK：2022, 2024
FIFAワールドカップ ゴールデングローブ：2022
ヤシン・トロフィー：2023, 2024
アストン・ヴィラFC プレイヤー・オブ・ザ・シーズン：2020-21
コパ・アメリカ ゴールデングローブ賞：2021, 2024
* コパ・アメリカ ベストイレブン: 2021, 2024

ダミアン・エミリアーノ・マルティネスは、努力と才能、そして家族への愛を胸に、これからも世界中のサッカーファンを魅了し続けるでしょう。

もう一度検索